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藤原歌劇団による《道化師》 非日常を引き出す怒り=梅津時比古

=林喜代種撮影

 刺す!

 きらめく刃に一瞬、透明になった存在が映る。

 時代のせいか、怒(いか)ることが少なくなった。社会が複雑に過ぎる現代においては、人は怒ったとしてもさまざまな情報が入って怒りに徹しきれないのかもしれない。怒る理由になるはずの、自分にとっての真実というものが、あるのかないのかも分からない。

 藤原歌劇団が短いオペラ、マスネの《ナヴァラの娘》とレオンカヴァッロの《道化師》を2本立てで上演した(1月28日、東京文化会館)。

 共に1800年代作曲の、社会の重い事件を描くヴェリズモ様式。組み合わせるのにふさわしいが、前半の《ナヴァラの娘》は世界でもほとんど上演されておらず、日本では今回が初演である。スペインの王位継承戦争の渦中における行き違いから、政府軍の軍曹と恋人(少数派ナヴァラ人の孤児)が互いに誤解して、軍曹は恋人の浮気を疑って敵刃に倒れ、恋人は気が狂う。藤原歌劇団の西本真子、大塚雄太、村田孝高ら若手の歌手陣が全力…

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