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パスキエとぺヌティエのデュオ 社会の痛みを呼び戻す=梅津時比古

 「青春」という言葉は、いくばくかの恥ずかしさを含んでいる。青春と言われる時期のただ中にいる者には自分が見えないことを、私たちが知っているからだろうか。といって、昔を回顧する青春談ほど白けるものもない。まるでそのような居心地の悪さを、フランスのレジス・パスキエ(バイオリン)とジャン・クロード・ぺヌティエのデュオ・リサイタルの開始直後に感じた(5月11日、トッパンホール)。曲はほとんど弾かれないシュヴィヤールのバイオリンソナタ(1892年)。パスキエは弓を弦に軽く当てて共鳴を多くさせるヨーロッパ伝統の奏法を保持していて、バイオリンから懐かしい響きが聞こえる。活気に満ちた曲想を、楽しくて仕方ない風情で弾いているのだが、どことなく自慢げな陶酔だ。ぺヌティエの質実なピアノとも違和がある。

 それらの要素が、2曲目のドビュッシーのバイオリンソナタ(1917年)からしっくりとかみ合い始めた。冒頭のピアノのト短調の和音がぺヌティエに弾かれると、やわらかな気がそっと宙に満ちる。それが不安げに揺れ動いて曲を導く。前の曲と一転して、パスキエも、はしゃがない。第一次世界大戦中に作曲されたドビュッシーのソナタに、どこか時代の傷が反映されていることが聞こえてくる。

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