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世界最高峰のオーケストラのひとつとして注目を集めるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のヴァイオリン奏者10人とピアノによるユニークなアンサンブルが、宮城道雄の「春の海」のヴァイオリン・アンサンブル版の初演を行う。これは10月10日に紀尾井ホールで開催される同アンサンブルの来日公演で、ヴィヴァルディやJ.S.バッハら彼らにとって十八番ともいえる作品を組み合わせたプログラムのメインとして、宮城道雄の筝曲(そうきょく)「春の海」を演奏するもの。
このアンサンブルはベルリン・フィルの第1ヴァイオリンのメンバーであるラウレンティウス・ディンカを中心に1993年に結成された。94年から本格的に公演活動を開始し、これまで地元ベルリンはもとより、フランス、スペインなどヨーロッパ各地や日本、南米などで公演を重ね、ベルリン・フィル同様の厚みのある深い響きと完璧なテクニックをベースに幅広いジャンルの作品を取り上げ、高い評価を得ている。
「春の海」は日本の正月を象徴する名曲として知られている。筝曲家の宮城が瀬戸内海を旅した際、のどかな春の海から得たインスピレーションをモチーフにして作曲。32年、フランスのヴァイオリニスト、ルネ・シュメーが来日した際、格調高い曲想に感銘を受け、ヴァイオリンで演奏したい、との希望を宮城に伝えたことをきっかけに宮城の琴とシュメーのヴァイオリンによる「春の海」が日比谷公会堂で演奏されることになったエピソードもよく知られている。これによって世界的にも親しまれる曲となり、今回、ベルリン・フィルのメンバーもこの作品の芸術性の高さを認め、新たなヴァイオリンとピアノのアンサンブル版として初演されることになった。元々は琴と尺八で演奏されるこの作品がベルリン・フィルの腕利きメンバーによってどのように生まれ変わるのか、興味は尽きない。
【ベルリン・フィル ヴァイオリン・アンサンブル】
10月10日(水)19:00 紀尾井ホール(東京都千代田区)
14日(日)14:00 やかげ文化センターホール(岡山県矢掛町)
演奏:ベルリン・フィル ヴァイオリン・アンサンブル
バッヘルベル:「カノン」
J.S.バッハ「G線上のアリア」
アルビノーニ:「アダージョ」
ヴィヴァルディ:合奏協奏楽集「調和の霊感」ニ短調op.3 No.11 RV565
ヴィヴァルディ :合奏協奏楽集「調和の霊感」イ短調op.3 No.8 RV522
プッチーニ:「オペラ組曲」
チャイコフスキー:「くるみ割り人形組曲」
ドビュッシー:「月の光」
ブラームス:「三つのハンガリー舞曲」
宮城道雄「春の海」(世界初演)