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必聴!

「弾き振り」でベートーヴェンの傑作に挑む

ベートーヴェンの協奏曲2曲を弾き振りする渡邉康雄

 ピアニストの渡邉康雄が、3月17日、オーケストラ・アンサンブル金沢とベートーヴェンの1番、5番の協奏曲を協演する。ピアノソロを弾きながら指揮をする「弾き振り」による演奏で「ベートーヴェン音楽の神髄に迫りたい」と意気込む。【野宮珠里】

     渡邉は指揮者・渡邉暁雄の長男として東京で生まれ、72年にピアニストとしてデビューし、以後国内外で活躍。一方、父・暁雄が創立指揮者である日本フィルハーモニー交響楽団をはじめ、東京都交響楽団、京都市交響楽団などを指揮し、神戸室内合奏団の常任指揮者も務めるなど、指揮者としても精力的に活動してきた。

     今なぜベートーヴェンか。

     「ベートーヴェンはピアノ音楽の最高の神ともいえる存在です。彼の神髄を示す作品であり、今のような混沌(こんとん)とした世の中で、希望の持ち方を啓示するような作品として5番を選びました。強烈で激しい、大きな強い音を演奏者に要求し、常に下から上へと攻め上っていくような音楽は、聴衆に『まるで皇帝のようだ』と言わしめたそうです。また1番は初期の初々しい作風で、若者の非常に健康的なピアノ音楽といえます」

     ピアノの演奏とともに、指揮にも意欲的に取り組んできたこれまでの成果を披露するには弾き振りが最良と考えた。

     「弾き振りでは、自分の原点であるピアノを中心に、室内楽的充実感を味わうことができます。オーケストラ側の“音符”に指揮者として直接関与することで、楽員の皆さんとベートーヴェンの音楽に対する熱い思いも共有できる希有(けう)な機会です」と期待する。

     1月に古希を迎え、改めて見えてきたこともある。

     「例えば、僕は高校時代、チェルニーの練習曲が大嫌いでしたが、チェルニーの先生はベートーヴェンです。実はチェルニーは恩師のすばらしさを皆と共有したい一念で多くの練習曲集を書いたのです。世界中のピアニストで、彼の練習曲にお世話にならなかった人は一人もいない。改めて畏敬(いけい)の念をおぼえます。今の自分の年齢にふさわしい演奏をしたい、と切に望んでいます」

     節目の年に、新たな思いで臨むベートーヴェンに注目したい。

     

    公演データ

    【渡邉康雄 ベートーヴェンピアノ協奏曲の世界】

    3月17日(日)14:00 紀尾井ホール(東京都千代田区)

    指揮・ピアノ:渡邉康雄

    管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢

    曲目:ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番ハ長調Op.15、第5番変ホ長調Op.73「皇帝」

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