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必聴!

「東京・春・音楽祭 2019」の聴きどころ、観どころ(下)

2018年夏にラヴェンナで開催された「イタリア・オペラ・アカデミー」 (C)Silvia Lelli

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【リッカルド・ムーティ イタリア・オペラ・アカデミー in東京】

 東京・春・音楽祭で今年、最も注目されているプロジェクトはイタリア・オペラ界の巨匠リッカルド・ムーティによる「イタリア・オペラ・アカデミー in東京」がスタートすることであろう。

 これは2015年にイタリア・ラヴェンナでムーティが開いた若い音楽家の育成を目的にした講習会を東京で〝引越し開催〟するもの。3月28日から4月4日までの間、18歳から35歳までの指揮者を目指す若い音楽家がムーティから直接指導を受ける。さらにその模様を30歳以下の若手音楽家や音楽を専攻する学生などにアカデミー生として聴講させるというプロジェクト。

 現代のイタリア・オペラ界における一大権威であるムーティが、自らの豊富な経験を基にしてイタリア・オペラの上演に不可欠な演奏様式への理解や解釈法、指揮法などをヴェルディの作品を題材にして、若手音楽家に伝授する画期的な試み。今年は歌劇「リゴレット」を取り上げて、作品を通して実践的な指導を行う。

アカデミー初日の28日には東京文化会館大ホールでムーティ自身がピアノを弾きながら、「リゴレット」の作品解説を行うイベントも開催される。これは一般の聴衆にも公開されることから、ムーティのヴェルディ作品の解釈に触れることができるまたとない機会になりそうだ。

詳細→ http://www.tokyo-harusai.com/news/news_6324.html

 なお、同アカデミーは来年以降も継続され、20年の題材は「マクベス」、21年は「仮面舞踏会」が予定されている。

アカデミーではイタリア・オペラへのムーティの理解や解釈をじかに聞くことができる (C)Silvia Lelli

【イタリア・オペラ・アカデミー・イン東京 ヴェルディ:歌劇「リゴレット」抜粋上演】

「イタリア・オペラ・アカデミー」の第1回を記念して最終日の4日には、東京文化会館大ホールで「リゴレット」が演奏会形式で抜粋上演される。ムーティの指揮、フランチェスコ・ランドルフィ(リゴレット)、ジョルダーノ・ルカ (マントヴァ公爵)、ヴェネーラ・プロタソヴァ(ジルダ)、アントニオ・ディ・マッテオ(スパラフチーレ)、ダニエラ・ピーニ(マッダレーナ)ら国際的に活躍する気鋭の歌手たちが出演。読売日本交響楽団のコンサートマスター・長原幸太ら全国のオーケストラの腕利きメンバーを中心に若手音楽家らで編成される東京春祭特別オーケストラが演奏を担当する。

 巨匠ムーティが若手主体の音楽家たちのエネルギーを糾合して、ヴェルディの悲劇をドラマティックに描き出してくれるに違いない。一般の聴衆にとってもムーティ自身の作品解説を聴いた上で、実演に触れることができるという貴重な体験になりそうだ。

公演詳細

【イタリア・オペラ・アカデミー in 東京 vol.1

「リゴレット」(抜粋上演/演奏会形式/字幕付)】

4月4日(木)19:00 東京文化会館大ホール

指揮:リッカルド・ムーティ

リゴレット:フランチェスコ・ランドルフィ

マントヴァ公爵:ジョルダーノ・ルカ

ジルダ:ヴェネーラ・プロタソヴァ

スパラフチーレ:アントニオ・ディ・マッテオ

マッダレーナ:ダニエラ・ピーニ

ジョヴァンナ:向野由美子

モンテローネ:望月一平

牢番:氷見健一郎

管弦楽:東京春祭特別オーケストラ

【The 15th Anniversary Gala Concert 第15回記念ガラ・コンサート】

4月12日に開催される第15回開催を記念したガラ・コンサートも注目される。2005年に「東京のオペラの森」としてスタートした同音楽祭の歴史をダイジェストで振り返る構成のガラ。05年にフル・ステージ形式で上演されたリヒャルト・シュトラウスの「エレクトラ」、06年のヴェルディ「オテロ」、08年上演のチャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」、東京・春・音楽祭に衣替えして以降の「東京春祭ワーグナー・シリーズ」で取り上げてきた、「ニーベルングの指環」「ニュルンベルクのマイスタージンガー」などワーグナー作品の名場面などが披露される。

ガラ・コンサートで指揮を務めるフィリップ・オーギャン(左)と読売日本交響楽団。読響は2020年から始まるイタリア・オペラのシリーズにも出演予定 =写真右(C)読響

 指揮はウィーン国立歌劇場やニューヨーク・メトロポリタン歌劇場などの名門オペラで活躍するフィリップ・オーギャン、演奏は読売日本交響楽団。出演する歌手はミーガン・ミラー(ソプラノ)、エリーザベト・クールマン(メゾ・ソプラノ)、ペーター・ザイフェルト(テノール)、ジョン・ルンドグレン(バリトン)、アイン・アンガー(バス)という豪華な顔触れとなっている。

左から、ミーガン・ミラー、ペーター・ザイフェルト、アイン・アンガーらガラ・コンサートに出演する歌手陣=写真中(C)Hösl

公演詳細

4月12日(金)18:30 東京文化会館大ホール

指揮:フィリップ・オーギャン

ソプラノ:ミーガン・ミラー

メゾ・ソプラノ:エリーザベト・クールマン

テノール:ペーター・ザイフェルト

バリトン:ジョン・ルンドグレン

バス:アイン・アンガー

管弦楽:読売日本交響楽団

ハイドン:「天地創造」第2部より第22曲 〝今や天はこの上なく輝き〟

R・シュトラウス:歌劇「エレクトラ」より〝ひとりだ!なんと悲しいこと〟

ワーグナー:歌劇「タンホイザー」第2幕 より〝おごそかなこの広間よ〟 ほか

【多彩な室内楽コンサートやリサイタル】

 これまで紹介してきた大規模な公演と並行して室内楽やリサイタルなど多彩なコンサートが行われるのも東京・春・音楽祭の大きな魅力である。その中からいくつかピックアップして紹介しよう。

昨年の「ナイトミュージアム」コンサート (C)東京・春・音楽祭実行委員会/増田雄介

 オープニングの3月15日には東京文化会館小ホールで、NHK交響楽団第1コンサートマスター・篠崎史紀を中心にN響メンバーによるヨハン・シュトラウスやクライスラーなどのウィーン音楽にスポットを当てた室内楽公演が行われる。

 ほかにオーケストラのメンバーを軸にした公演としてはソロ・コンサートマスター矢部達哉を中心とした東京都交響楽団団員による室内楽(16日、東京文化・小)、元N響ソロ・コンサートマスター堀正文、ベルリン・フィルの元ソロ・オーボエ奏者ハンスイェルク・シェレンベルガーらトップ・プレーヤーによって編成される東京春祭チェンバー・オーケストラによるモーツァルトとシューベルトの作品を取り上げるアンサンブル(21日、東京文化・小)、マーラー・チェンバー・オケの首席オーボエ奏者・吉井瑞穂と世界的に活躍するギタリスト・鈴木大介によるデュオ・コンサート(25日、上野学園石橋メモリアルホール)、読響コンサートマスター長原孝太、ソロ首席ヴィオラ奏者・鈴木康浩らによる室内楽コンサート(26日、東京文化・小)、ベルリン・フィルの第1コンサートマスター、ノア・ベンディックス=バルグリーら同フィルのメンバーによる室内楽(27日、東京文化・小)、N響首席ホルン奏者・福川伸陽を中心に若手の腕利きプレーヤーがモーツァルト、藤倉大、ブラームスの作品に挑む公演(30日、東京文化・小)などが注目される。

リサイタルを行うエリーザベト・クールマン (C)JuliaWesely

 また、オペラ公演に出演する世界的な実力歌手がリサイタルを行うのも毎年、人気を集めている。今年はバス・バリトンのブリン・ターフェル(28日、東京文化・小)、バスのアイン・アンガー(4月8日、東京文化・小)のリサイタルが予定されている。さらに4月9日には東京文化会館大ホールでエリーザベト・クールマンがウィーン・フィルのメンバーらとともに「愛を歌う」というテーマでモーツァルトからリヒャルト・シュトラウス、ロイド=ウェバー、コール・ポーターなどの多彩なプログラムを披露するのも話題となっている。

 また、同音楽祭の名物となっている東京国立博物館、国立科学博物館などを会場にしたミュージアム・コンサートも恒例の「東博でバッハ」をはじめ、バラエティーに富んだプログラムが用意されている。

(宮嶋 極)

※公演日程や出演者、演目等の詳細は音楽祭の公式ホームページを参照してください。

http://www.tokyo-harusai.com/program/program_list.html

 

 また、同ホームページには今年の「東京春祭ワーグナー・シリーズ」で取り上げる「さまよえるオランダ人」の作品解説を筆者が寄稿しています。

  http://www.tokyo-harusai.com/news/column_wagner.html

筆者プロフィル

 宮嶋 極(みやじま きわみ)毎日新聞グループホールディングス執行役員、毎日映画社社長、スポニチクリエイツ社長を務める傍ら音楽ジャーナリストとして活動。「クラシックナビ」における取材・執筆に加えて音楽専門誌での連載や公演プログラムへの寄稿、音楽専門チャンネルでの解説等も行っている。

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