いまを時めく名コンビ、首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィとNHK交響楽団の、破竹の勢いが止まらない。とりわけいわゆる近代以降の音楽に、めざましい成果をあげつつある昨今だ。そんな折、メシアンの《トゥランガリラ交響曲》を取り上げる定期公演が注目を集めたのは当然だろう。結果は期待通りの快演。20世紀の独創的な大作が、ホール狭しと鳴り響いた。
パーヴォの《トゥランガリラ》はみるからに筋骨たくましい。絢爛(けんらん)たる色彩性を強調する以前に、まず堅固な構成と響きの重量感が先に立つ印象だ。錯綜(さくそう)したスコアの処理はいつもながら申し分なく精細だが、そこに神経質な硬直は皆無。隙(すき)のない展開の中にも、常に一種天真爛漫(らんまん)なおおらかさの風穴が開かれているのが大きな特長だ。そう、《トゥランガリラ》には息の詰まるような閉塞(へ…
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