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舞台がはねてバイロイト祝祭劇場から吐き出される人々=梅津時比古撮影

 ドイツ・バイロイト音楽祭でワーグナーの≪タンホイザー≫を見たあと、丘の上の祝祭劇場から吐き出されるように、正装の男女の渦と共に外へ出た。今夏のドイツは暑かったが、午後10時近くになってようやく暗くなった外気が、ひんやりと肌に触れる。斜め後ろから《タンホイザー》の中の有名な《夕星(ゆうずつ)の歌》の旋律を小声で口ずさむ女の人の声がした。先ほど舞台で、清廉なヴォルフラム役のバリトンが歌ったばかりだ。死の予感を覚えつつ、片思いの相手、エリザベートへの優しい気持ちを込めた歌はしっとりとして、一瞬、《タンホイザー》の精神と官能の闘いを忘れさせる。どこかで聞き覚えがある気がした。振り返ると、黒いロングドレスを着た銀髪の婦人と、一瞬、互いに目が留まって、その直後、耳に残る声が記憶を呼び覚ます。声は年を取らない。あー、と言葉にならないでいると、向こうも驚いたような顔が笑顔になり「長い間お会いしませんでした。お元気ですか?」と小声で。「何年?」と言ったきりこち…

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