メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

必聴!

新国立劇場がベルカント・オペラの傑作「ドン・パスクワーレ」を新制作

「ドン・パスクワーレ」トリエステ歌劇場公演より Photo: Fabio Parenzan

[PR]

 ドニゼッティが晩年に手掛けた「ドン・パスクワーレ」。オペラ・ブッファの中でも傑作のひとつに数えられる本作が、11月9日より、新国立劇場で新制作上演される。ステファノ・ヴィツィオーリによる演出(1994年・ミラノ・スカラ座初演)は、伝統的ながら細やかな心理描写やシーン展開が映え、音楽の美しさと喜劇の楽しみを存分に味わえるプロダクションに仕立てられている。意外にも、新国立劇場での本作上演は開場以来初で、満を持しての上演に注目が集まる。

 「ドン・パスクワーレ」は裕福な老人ドン・パスクワーレをめぐり、おいやその友人たちが繰り広げる喜劇だ。独り身のため、おいのエルネストに跡を継がせようと考えていたパスクワーレだが、エルネストはノリーナという未亡人の恋人に夢中で思うようにいかない。そこでパスクワーレは自分が結婚し、実子に跡を継がせようと主治医のマラテスタに花嫁探しを依頼する。ここからが喜劇ならではの展開で、パスクワーレの主治医でありエルネストの親友でもあるマラテスタが、親友のために一肌脱いで愛する親友のノリーナとの結婚をパスクワーレに認めさせるべく画策し、四者によるドタバタが繰り広げられる。現実ならあり得ないとどこかで思いつつも、笑いと皮肉を含んだストーリー展開や登場人物の心理の変化にひきこまれてしまう、魅力的な作品だ。

 タイトルロールを歌うのは、イタリア出身のロベルト・スカンディウッツィ。新国立劇場へは2001年の「ドン・カルロ」にフィリッポII世で出演している。ここ最近もメルボルンでの「リゴレット」(スパラフチーレ)やシドニーやブリスベンでの「アイーダ」(ラムフィス)など、どっしりとしたバス役を演じることが多いスカンディウッツィだが、「ドン・パスクワーレは、本人がおどけた演技をするのではなく、彼の真面目さが周りの笑いを誘うのです。そういう意味で、私の声によく合った役柄だと思っています」(新国立劇場会報誌より)と話している。名バスとしての技量を備えたスカンディウッツィの、ベルカントな歌声を楽しみたい。

タイトルロールを歌うロベルト・スカンディウッツィ

 また、おいのエルネストを歌うのはマキシム・ミロノフ。ボローニャ、ローマの各歌劇場、ベルリン州立歌劇場にウィーン国立歌劇場と、ここ近年の活躍には目を見張るものがあり、2016年の新国立劇場「セビリャの理髪師」でのアルマヴィーヴァ伯爵も記憶に新しい。数々の名歌手を輩出するロッシーニ・アカデミーの出身であり、その柔らかな歌声と技術に定評があるミロノフだけに、再来日を待ち望んでいた人も多いだろう。

おいのエルネストを演じるマキシム・ミロノフ

 このほか、ノリーナはアルメニア出身のハスミック・トロシャンが演じる。2015年のロッシーニ・フェスティバル「新聞」での好演は大きな反響を呼び、現在、「夢遊病の女」アミーナや「愛の妙薬」アディーナなどのベルカントの諸役を中心に、「魔笛」の夜の女王や「ラ・ボエーム」のムゼッタほか、幅広い活躍を見せる。今シーズンはトリノ王立歌劇場で「真珠採り」(レイラ)、ハンブルク州立歌劇場で「イタリアのトルコ人」(フィオリッラ)に出演するなど、期待のソプラノだ。また、パスクワーレの主治医でエルネストの親友、マラテスタはビアジオ・ピッツーティが歌う。ピッツーティは8月から9月にかけてヴェローナ歌劇場のオペラ・フェスティバルで「トスカ」に出演したほか、来年2月と3月にベルリン・ドイツ・オペラで「セビリャの理髪師」に出演するなど活躍の場を広げている。両者ともに新国立劇場へは初登場とあって、彼らの歌声にも注目したい。

ノリーナを演じるハスミック・トロシャン(左)とマラテスタを演じるビアジオ・ピッツーティ

 ベルカント・オペラに欠かせない技量と表現力を持つ歌手がそろった今回の「ドン・パスクワーレ」。〝あの騎士の眼差しは〟〝遥かなる土地を求めて〟など、随所に散りばめられた美しい歌の数々を通じて、ベルカント・オペラの魅力を存分に楽しめるだろう。(正木裕美)

公演データ

【新国立劇場 ドニゼッティ:「ドン・パスクワーレ」

(全3幕 イタリア語上演日本語及び英語字幕付き)】

11月9日(土)14:00 11日(月)19:00 13日(水)14:00 16日(土)14:00 17日(日)14:00 新国立劇場オペラパレス

指揮:コッラード・ロヴァーリス

演出:ステファノ・ヴィツィオーリ

美術:スザンナ・ロッシ・ヨスト

衣装:ロベルタ・グイディ・ディ・バーニョ

照明:フランコ・マッリ

演出助手:ロレンツォ・ネンチーニ

ドン・パスクワーレ:ロベルト・スカンディウッツィ

マラテスタ:ビアジオ・ピッツーティ

エルネスト:マキシム・ミロノフ

ノリーナ:ハスミック・トロシャン

公証人:千葉裕一

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

合唱:新国立劇場合唱団

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 首相ヤジに「#共産党は私だ」「#共産党は仲間だ」投稿広がる

  2. 3分でわかる政治の基礎知識 「27億円」秋篠宮さまが公費支出に疑問 大嘗祭の秘儀と費用

  3. 私道封鎖され団地が孤島状態に 所有者が通行料要求、住民拒否で強硬策

  4. 「桜を見る会」名簿 廃棄は国会の追及直前だった 内閣府は「例年と同じ」

  5. やまぬ安倍首相のヤジ 今年だけで不規則発言20回超「民主主義の危機」

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです