誘われたとき、あまり気乗りはしなかった。趣旨は、どんなものでも、瓶でも鉛筆箱でも楽器にして楽しむコンサートということであった。同じような意図で立派に活動して、興味深いワークショップを重ねている会もあるので、二番煎じに思えた。しかし誘ってくれた人が、長年、音楽文化財団で地道に仕事をしていた人でもあったので、のぞかせてもらった。
土曜日の午後のとある公民館。入ってすぐの10畳ぐらいの部屋だろうか、板の間に毛布を何枚もしいた上に、よちよち歩きの子から、小学生、車椅子に乗ったお年寄りまで、十七、八人集まっている。色や柄の違う毛布の寄せ集めの上にさまざまな服と顔があって、色の見本市が目に飛び込んできた。楽器はというと、縦笛や公民館にずっと置かれていたらしい古びたタンバリンなど普通のものに加え、絵の具で思い思いの絵を描いた瓶の中…
この記事は有料記事です。
残り966文字(全文1330文字)