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音のかなたへ

新古今集とお弁当

東京都千代田区で=尾籠章裕撮影

 あるアマチュアオーケストラの演奏に、プロフェッショナルのオーケストラでは味わえないような感動を覚えたので、練習を見に行ったことがある。

 練習は土日。国語の先生が指揮をし、表情づけするときも、新古今集の歌の話などをする。チャイコフスキーの≪幻想序曲「ロミオとジュリエット」≫の冒頭で、式子内親王の<さりともと 待ちし月日ぞ うつりゆく 心の花の 色にまかせて>を取り上げていた。あまねく知られた歌ではない。「待っていても待っていてもあの人に会えない。この心の花の色は、あの人の心の花か、待つ自分の心か? そしてこの色は?」と問う。すると不思議なことにアマチュアオーケストラの音からさまざまな色があふれ出し、それがロミオになりジュリエットになり、深く幻想的な悲しい音に染まってゆく。情熱的な国語の授業と、不思議な手品を見ている気持ちになった。

 練習に使う体育館の椅子の片付けもすべて終わってから、下手なフルートの音が聞こえてきた。見ると隅でフルートの首席の年配の男性が、いつもオーケストラの椅子の配置などを手伝う若い女の子に教えている。男性はアマチュアといっても、とても良い音の持ち主である。彼が以前に使っていた楽器をあげたらしいが、信じられないほど、彼女はひどい音を出していた。レッスン代は先生の分のお弁当を作ってくることと聞いて笑った。次…

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