メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

音のかなたへ

見ることで浮かぶ

東京都千代田区で=尾籠章裕撮影

 子どものときから、地元の鎌倉と逗子の間の小坪トンネルに出る幽霊の話をさんざん聞かされてきた。トンネルの山の上に火葬場があるからだろう。タクシーが空車で走っていると、小坪トンネルでいつの間にか後部座席に若い女の幽霊が乗っているという。運転手が恐怖のあまりスピードを上げて鎌倉市街に入ると後部座席から消えているらしい。川端康成の短編「無言」にもそのままの話が出ている。この若い女の幽霊の話は昔から定着しているようだ。

 「無言」は、倒れて言葉が話せなくなった老作家の大宮を後輩の作家の三田が見舞いに行く話である。大宮は逗子の自宅で療養していて娘の富子が一人で面倒を見ている。相手が話すことを大宮はすべて分かる。自分から話せなくとも、字を指し示すことぐらいはできるはずだが、大宮はなぜか言葉を一切断ち切っている。

この記事は有料記事です。

残り935文字(全文1288文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 「自粛要請知らなかった」出歩く若者も 福岡・天神コア「すごい人で驚いた」人も

  2. たばこを吸っていると新型コロナで重症化しやすいのは本当か 専門家が警告する

  3. 新型コロナ不況になぜ1人20万の給付金が必要なのか 反緊縮・経済学者の提言を読む

  4. 新型コロナで都市封鎖は実行されるのか 小池都知事「ロックダウン」警告の真意

  5. 「このままでは餓死」失職労働者、都市部から歩いて故郷へ 感染拡大懸念 全土封鎖のインド

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです