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必聴!

在京オケ9月公演から、注目のステージ

 新型コロナウイルスの感染再拡大が続く中、在京のオーケストラ各団体はこれまで検証してきたデータなどを基に感染防止対策を徹底して、演奏会の再開を徐々に進めている。海外アーティストの来日は依然、困難である一方で日本の指揮者やソリストの実力の高さを再確認し、若手の才能を世に知らしめる絶好の機会ともなっている。そこで在京オケの9月公演の中から注目のステージをピックアップして紹介したい。(宮嶋 極)

【読売日本交響楽団】

読売日本交響楽団は2日にサントリーホールで開催する名曲シリーズで今年80歳を迎えた同団特別客演指揮者の小林研一郎の指揮、若手実力チェリスト・宮田大をソリストに迎えてドヴォルザークのチェロ協奏曲とリムスキー=コルサコフの「シェエラザード」を披露する。傘寿の大御所と世界トップクラスの若手チェリストの協演でどのような化学反応が起こるのか注目される。さらに「シェエラザード」では、同団特別客演コンサートマスターでベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団コンマスも務める日下紗矢子が、ソロを担当する。彼女のしなやかながらも切れ込み鋭い表現でこの名曲にどんな光を当ててくれるのか期待される。なお、日下は自らがリーダーを務める読響の弦楽アンサンブルの公演を翌3日によみうり大手町ホールで開催する。ブリテンの2曲に加えて、鈴木優人をチェンバロ独奏に迎えてヘンデル、パーセルの作品を演奏する。

傘寿を迎えてますます意欲的な小林研一郎は読響の名曲シリーズに登壇 (C)読売日本交響楽団

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 同団クリエイティヴ・パートナーの鈴木優人であるが12、13両日、今度は指揮台に立ち、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(独奏・郷古廉)と交響曲第6番ヘ長調「田園」に挑む。作曲家在世当時のいわゆるピリオド(時代)の要素を反映させた演奏が行われるはずで、最先端のベートーヴェン解釈が聴けるだろう。

 8日の定期演奏会(サントリーホール)は、名誉客演指揮者の尾高忠明によるコロナ禍での「今」に思いを込めたプログラム。英国の女性作曲家グレース・ウィリアムズが第二次世界大戦中に救いを求めて書いた「海のスケッチ」、続いて自粛期間中に53日連続ライブ配信で話題を呼んだ小曽根真の独奏でモーツァルトのピアノ協奏曲第23番。後半は“ゆっくり、急げ”というヨーロッパで古くから用いられている格言がタイトルになっているアルヴォ・ペルトの「フェスティーナ・レンテ」とオネゲルの交響曲第2番とメッセージ性の強い作品が並ぶ。

【日本フィルハーモニー交響楽団】

 日本フィルは4、5両日、サントリーホールで東京定期演奏会・秋季を開催する。指揮は同団正指揮者の山田和樹。ガーシュウィンのアイ・ガット・リズム変奏曲、ミシェル・ルグランのチェロ協奏曲(日本初演)、五十嵐琴未の「櫻暁(おうぎょう) for Japan Philharmonic Orchestra」、ラヴェルの「マ・メール・ロワ」という意欲的な演目が並ぶ。前半にアメリカ・ジャズ界の代表格であるガーシュウィンと、映画「シェルブールの雨傘」などで知られるフレンチ・ジャズの巨匠ミシェル・ルグランの作品が並ぶのも面白い。独奏は横坂源(チェロ)、沼沢淑音(ピアノ)で山田の感性が光るコンサートになりそうだ。

シーズンオープニングを飾る山田和樹と日フィルの公演は配信も行う。同フィルはこのほか小林研一郎との2つの公演(9月13、17日)やオペラにも造詣の深い園田隆一郎との公演(20日)も予定している (C)山口敦

【NHK交響楽団】

 NHK交響楽団は定期公演に代わる「9月公演」と銘打った演奏会を3プログラム計6回開催する。当初、9月12、13日のNHKホール及び18、19日の東京芸術劇場での公演を指揮する予定であった同団首席指揮者のパーヴォ・ヤルヴィが海外からの渡航制限が続いているため来日できなくなった。代わって山田和樹(12、13日)と広上淳一(18、19日)が指揮台に立つ。前者が武満徹の「弦楽のためのレクイエム」、モーツァルトの交響曲 第29番イ長調 、ブラームスのセレナード 第2番。後者はウェーベルン(シュウォーツ編)の緩徐楽章(弦楽合奏版)、リヒャルト・シュトラウスの歌劇「カプリッチョ」の六重奏(弦楽合奏版)と組曲「町人貴族」というプログラム。「町人貴族」のソロはゲスト・コンマスの白井圭。

 さらに23、24日はサントリーホールを会場に下野竜也の指揮でシューマンの4本のホルンのための小協奏曲ヘ長調、コダーイ(下野竜也編)の「ミゼレーレ」、シューマンの交響曲第4番ニ短調を演奏する。N響ホルン・セクションの福川伸陽、今井仁志、勝俣 泰、石山直城による妙技も聴きどころである。

自身が編曲を手がけたコダーイほか、9月公演で意欲的なプログラムを聴かせる下野竜也とN響。写真は2019年4月の定期公演より 写真提供:NHK交響楽団

【東京都交響楽団】

 東京都交響楽団は予定されていた定期演奏会、プロムナード・コンサートを中止し、都響スペシャル2020と題したコンサートを12日と16日にサントリーホールで行う。いずれも指揮は音楽監督の大野和士。12日はモーツァルトの交響曲第36番ハ長調「リンツ」、ブルッフのクラリネットとヴィオラのための二重協奏曲ホ短調(クラリネット・三界秀実、ヴィオラ・鈴木学)、シューマンの交響曲第3番変ホ長調「ライン」。16日はオール・ベートーヴェンで、ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲ハ長調、交響曲第3番変ホ長調「英雄」という演目。協奏曲の独奏は同団ソロ・コンマスの矢部達哉(ヴァイオリン)、宮田大(チェロ)、小山実稚恵(ピアノ)で親密で温かみを感じさせるアンサンブルが繰り広げられることになるだろう。

 また、5、6日には東京芸術劇場で都響などが主催する「サラダ音楽祭」も開催される。

コロナ禍における公演開催に向けた試演会や再開後の音楽祭に定期など、意欲的に都響を牽引する音楽監督の大野和士 提供:東京都交響楽団 (C)堀田力丸

【東京交響楽団】

 東京交響楽団は19日にミューザ川崎シンフォニーホールを会場にモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」のセミ・ステージ上演を予定している。指揮は井上道義、演出は野田秀樹が担当する。

 これに先立つ5日には東京オペラシティコンサートホールで定期演奏会を行う。指揮は飯森範親で曲目はモーツァルトのピアノ協奏曲第20番ニ短調(ピアノ・伊藤恵)、ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調「運命」ほか。

東響の定期に登壇する飯森範親。6月27日に飯森の指揮で行った無観客ライブ配信「Live from MUZA! マッチングギフトコンサート」は現在も「niconico」内で視聴が可能 写真:平舘平、提供:東京交響楽団

【東京フィルハーモニー交響楽団】

 東京フィルは25日(サントリーホール)、27日(Bunkamuraオーチャードホール)、29日(東京オペラシティコンサートホール)に予定していた定期演奏会について、新型コロナウイルス感染症対策による渡航制限が続いていることから同団首席指揮者のアンドレア・バッティストーニの来日のめどが立たないため、指揮をレジデントコンダクターの渡邊一正に交代することを3日、発表した。これに伴い演目がドヴォルザークの序曲「謝肉祭」、交響曲第8番へと再度変更された。なお、当初予定していたザンドナーイの歌劇「フランチェスカ・ダ・リミニ」の演奏会形式上演は日を改めて行う。

筆者プロフィル

 宮嶋 極(みやじま きわみ) 毎日新聞グループホールディングス取締役、番組・映像制作会社である毎日映画社の代表取締役社長を務める傍ら音楽ジャーナリストとして活動。「クラシックナビ」における取材・執筆に加えて音楽専門誌での連載や公演プログラムへの寄稿、音楽専門チャンネルでの解説等も行っている。

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