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必聴!

いま聴きたい躍進中の若手指揮者~N響&新日本フィルの11月公演から

熊倉優は7月17日にN響が無観客公演で演奏を再開した際の指揮も務めている

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 今秋、在京のオーケストラはさまざまな感染防止対策を施しながら演奏会を開催し〝楽壇の新たな日常〟が定着しつつある。海外アーティストの来日については依然として難しい状況が続く中、日本人の若手指揮者やソリストが一流オーケストラと共演する機会も増えている。聴衆にとっては新たな才能を知る絶好の機会となり、これもコロナ禍における新たな音楽の楽しみ方ということができよう。そこで11月の在京オーケストラの公演の中から注目の若手が登場するコンサートを紹介する。

(宮嶋 極)

【NHK交響楽団11月公演】

 N響の定期公演に代わる11月公演には熊倉優と原田慶太楼の2人の若手指揮者が登場する。11月14、15日にNHKホールで行われる公演を指揮する熊倉は1992年、東京生まれで今年28歳の俊英。2016年から2019年まで、N響及び同団首席指揮者のパーヴォ・ヤルヴィのアシスタントを務めており、その才能はパーヴォの折り紙付きだという。オーケストラのメンバーからも好評価を受けていることから、定期公演に相当する重要なステージの指揮を任されたもの。

 16歳から作曲を学び、桐朋学園大学(作曲専攻)入学時から指揮を始めた。梅田俊明、下野竜也に師事。第18回東京国際音楽コンクール(指揮)で第3位、第26回京都フランス音楽アカデミーにて最優秀賞(第1位)、第12回ドナウ国際指揮者コンクールで第2位受賞。これまでN響のほか、東京交響楽団、東京都交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団などと共演している。

 プログラムはメンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」、シューマンのピアノ協奏曲イ短調、バッハ(レーガー編)のコラールの前奏曲「おお人よ、おまえの罪に泣け」、メンデルスゾーンの交響曲第4番イ長調「イタリア」というドイツ系の構成。シューマンのコンチェルトでは昨年のチャイコフスキー国際コンクールで2位に、17年には第27回クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝するなど世界的に注目を集める今年22歳のピアニスト、藤田真央との若手共演も楽しみである。

 一方、20、21日(東京芸術劇場)と25、26日(サントリーホール)を指揮する原田はこのコロナ禍で、各オーケストラから引っ張りだこの人気ぶり。この間に彼の才能を確認した音楽ファンも多いはずだ。既に米国やヨーロッパなどで活躍する原田だが来年4月に東京交響楽団の正指揮者に就任することも決まっている。

 今回、原田はN響と相談の上、凝ったプログラムを組んでいることが面白い。20、21日はコリリャーノの「航海」、バーバーのヴァイオリン協奏曲(独奏・神尾真由子)、ドヴォルザークの交響曲第9番ホ短調「新世界から」。25、26日は自らの音楽的ルーツをたどるアメリカン・プログラムとしてバーンスタインの「オン・ザ・タウン」~〝3つのダンス・エピソード〟、G・ウォーカーの「弦楽のための叙情詩」、ピアソラの「タンガーソ(ブエノスアイレス変奏曲)」、コープランドのバレエ組曲「アパラチアの春」、マルケスのダンソン第2番を披露する。普段のN響定期ではなかなか聴けない曲も多く、この機会に作品の魅力にも触れてみるのもお勧めだ。

昨年8月、N響ほっとコンサートでの原田慶太楼とN響 写真提供:NHK交響楽団

【新日本フィルハーモニー交響楽団 第5回大人のためのコンサート~豊かな人生のために~】

 11月9日すみだトリフォニーホールで開催される「大人のためのコンサート」を指揮する中田延亮は今年45歳の若手から中堅の域に入りつつあるアーティスト。筑波大学医学専門学群在学中に桐朋学園ソリスト・ディプロマコースに入学し、コントラバスを専攻する傍ら指揮も学んだ。新日本フィルやスペイン・バレンシア歌劇場管弦楽団にコントラバス奏者として在籍した後に指揮活動を本格化させた異色の経歴の持ち主である。ウィーン市音楽院古楽科などでも学んだことに加えて、往年のフランスの巨匠ジャン・フルネに認められ、最晩年の生徒として薫陶を受けた。

 07年にブルガリアのスタラザゴラ歌劇場でヨーロッパデビュー、またドナウ交響楽団主催の国際指揮者コンクールで第1位を受賞。その後はラトビア国立交響楽団とのエストニアツアーに同行するなど客演を続けている。現在はスペインのバレンシアに拠点を置き、ポルト・アレグレ交響楽団(ブラジル)、新日本フィル、東京フィル、東京シティ・フィル、ブラショフ歌劇場(ルーマニア)などとも共演している。

 プログラムはロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」序曲、ビセーの「カルメン」組曲第2番より〝夜想曲〟〝闘牛士の歌〟〝ジプシーの踊り〟 、リムスキー=コルサコフのスペイン奇想曲 、ファリャの「恋は魔術師」より〝パントマイム〟〝火祭りの踊り〟というスペインをテーマにした構成。 スペインの情熱がほとばしるような熱い演奏が期待できそうだ。

今年2月に新日本フィルの同シリーズで指揮を務めた中田延亮 (C)大窪道治

筆者プロフィル

 宮嶋 極(みやじま きわみ) 毎日新聞グループホールディングス取締役、番組・映像制作会社である毎日映画社の代表取締役社長を務める傍ら音楽ジャーナリストとして活動。「クラシックナビ」における取材・執筆に加えて音楽専門誌での連載や公演プログラムへの寄稿、音楽専門チャンネルでの解説等も行っている。

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