今年も多くの方が亡くなった。50年ほど前に東京で発足したハインリヒ・シュッツ合唱団は、毎年「レクイエムの集い」を行っている。その年に亡くなった家族や親しい人の名前を合唱団に事前に届けると、公演で祈りがささげられる。今年はどこも新型コロナ対応のため合唱の公演に難色を示し、ようやく府中の森芸術劇場の小ホールが認めてくれたという。
私は無宗教でもあり、名前は届けなかったが、何人かの姿を心に秘めながら11月5日の夜、会場へ向かった。近づくと、道のあちらこちらから人々が集まってくる。この合唱団の公演にこれほど多くの人が参集していた経験はなく、不安な世情に祈りたい人が多いのであろうか、と驚いた。
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