
社説は日々、論説委員が議論を交わして練り上げます。出来事のふり返りにも活用してください。
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’22参院選 電力供給と脱炭素 原発に頼らぬ両立の道を
2022/7/2 02:01 819文字ロシアのウクライナ侵攻で、世界的にエネルギー不安が高まる中、電力の安定供給と脱炭素の取り組みをどう両立させるのか。各党の参院選公約からは、その戦略がうかがえない。 猛暑が続き、電力需給が逼迫(ひっぱく)している。政府は家庭や企業に節電を求め、老朽化した火力発電所を再稼働させた。 海外でも、エネルギ
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NATOの体制強化 露の暴挙が団結を促した
2022/7/2 02:01 841文字世界最大の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)が体制を強化する。加盟する米欧諸国が首脳会議で合意した。 戦闘機や駆逐艦などの戦力を増強し、米軍を東欧ポーランドに常駐させる。即応部隊を現在の7倍超の30万人以上に増員し、北欧のフィンランドとスウェーデンを新たに迎える。 ウクライナに侵攻したロシ
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日韓首脳の対面 関係を立て直す出発点に
2022/7/1 02:01 810文字岸田文雄首相と韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領がスペインで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に参加した際、初めて対面した。 夕食会での短時間の立ち話であり、懸案について具体的に話し合ったわけではない。とはいえ、首脳同士が対話継続の意思を示した意味は大きい。両国関係を立て直す出発点とすべきであ
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大阪ビル火災の報告書 命を守る取り組みが急務
2022/7/1 02:01 812文字大阪市北区の心療内科クリニックで26人が犠牲になった昨年12月の雑居ビル火災について、総務省消防庁が調査報告書を公表した。 死亡した容疑者は、非常階段とエレベーターの近くでガソリンをまいて放火したとみられる。患者らは逃げ場を失い、窓のない奥の診察室の方に向かった。 報告書によると、出火の2~4分後
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ウクライナ侵攻 戦闘長期化と支援 対露結束を維持すべきだ
2022/6/30 02:01 877文字「我々はウクライナと共にある。財政、人道、軍事、外交の面で支援を続ける」 ロシアの侵攻が4カ月に及ぶ中、ドイツで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、ウクライナ支持を確認し、閉幕した。 戦闘の長期化に伴い、G7内では停戦に向けた出口戦略などを巡り、温度差が表面化していた。結束を打ち出したこ
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香港返還から25年 信頼を失わせた約束違反
2022/6/30 02:01 862文字香港が英国から中国に返還されて25年を迎える。高度な自治を保障した「1国2制度」は揺らぎ、社会制度を50年間変えないとの約束は破られてしまっている。 英国や香港の意見も反映し、立場の違いを超えて歩み寄った国際公約だったはずだ。習近平指導部が一方的に中国化を推し進めた結果、国際社会の不信を招いた。
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’22参院選 憲法改正 ムードに流されぬ議論を
2022/6/29 02:00 855文字参院選では各党が憲法改正の是非を公約に盛り込んでいる。だが、主張はかみ合っておらず、論戦が深まる気配はない。 毎日新聞の情勢調査では、改憲に前向きな自民、公明、日本維新の会、国民民主の「改憲4党」で、国会での発議に必要な3分の2の議席を確保する可能性がある。 だが、論点は多岐にわたる。改憲勢力内で
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日興の不正調査報告 抜本的な体質改善が急務
2022/6/29 02:00 847文字利益追求を優先するあまり、法令順守をないがしろにする企業体質があったと言わざるを得ない。 元副社長や元部長らが起訴された相場操縦事件を巡り、SMBC日興証券が、外部の弁護士でつくる調査委員会の報告書を公表した。不祥事の背景に「ガバナンス(企業統治)全般の機能不全」があったと結論づけた。 問題の取引
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’22参院選 女性候補は33% 男性優位の解消まだ遠い
2022/6/28 02:01 855文字候補者数の男女均等を目指す法律が制定されてから4年がたつ。にもかかわらず、男性優位の状況は解消されていない。 参院選の全候補者に占める女性の割合は33・2%となった。衆院選も含め、国政選挙で3割を超えるのは初めてである。 しかし、有権者の半数が女性であることを考えれば、候補者も同様の比率にするのが
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記録的な猛暑 熱中症の防止を最優先に
2022/6/28 02:01 852文字関東や九州などが記録的な猛暑に見舞われている。熱中症への警戒が必要だ。 東京の都心では、6月としては初めて3日連続で最高気温が35度以上の猛暑日となった。気象庁はきのう、関東甲信、東海、九州南部が梅雨明けしたとみられると発表した。関東甲信は統計を取り始めてから最も早い。 熱中症で病院に搬送された人
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’22参院選 外交・安全保障 冷静かつ現実的な論戦を
2022/6/27 02:00 1659文字ロシアによるウクライナ侵攻が4カ月に及ぶ中、参院選の争点として安全保障政策に注目が集まっている。 今春の毎日新聞などの世論調査では、日本の安全保障や中国による台湾侵攻に「不安を感じる」と答えた人が9割近くに上った。参院選でも、与野党の安全保障論議が熱を帯びている。 世界第2の軍事大国となった中国は
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米の利上げ加速と日本 円安と不況連鎖に警戒を
2022/6/26 02:01 848文字米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを加速させている。金利の低い円が売られ、さらなる円安につながらないか、政府・日銀は警戒を怠ってはならない。 FRBは今月、0・75%の利上げを決めた。1994年以来の上げ幅で、今後も金融引き締めを続ける方針を示している。ロシアによるウ
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東京五輪の最終報告 国民の感覚とずれている
2022/6/26 02:01 834文字お手盛りの総括では、国民の納得は到底得られない。 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が最終報告をまとめた。大会経費は総額1兆4238億円にのぼり、招致段階で公表した7340億円の2倍近くに膨らんだ。 道路整備など関連経費を含めると3兆円を超すとの試算もある。大会に絡む事業の線引きがあいまい
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核禁止会議の政治宣言 高み目指す協力の契機に
2022/6/25 02:01 1627文字核保有国や「核の傘」の下にある国が核抑止力に頼り、依存を減らそうとしない現状に強い懸念が表明された。保有国や日本は重く受け止めるべきだ。 ウィーンで開かれていた核兵器禁止条約の第1回締約国会議が、核廃絶に向けた決意を示す政治宣言を採択して閉幕した。 ロシアがウクライナに侵攻するさなかである。プーチ
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沖縄慰霊の日 戦禍繰り返さぬ誓い再び
2022/6/24 02:00 841文字沖縄は23日、慰霊の日を迎えた。太平洋戦争末期の沖縄戦で、組織的な戦闘が終結した日から77年になった。 3カ月にわたる凄惨(せいさん)な地上戦の末、日本側の犠牲者は18万8000人に及んだ。このうち県出身者は12万人で、県民の4人に1人が亡くなった。 今年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は、ひ
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厳罰化された侮辱罪 言論の萎縮招かぬ運用を
2022/6/24 02:00 850文字言論の萎縮を招くことがあってはならない。運用には慎重を期す必要がある。 先の国会で、侮辱罪を厳罰化する改正刑法が成立した。来月、施行される。不特定または多数の人が知り得る状況で、他人を侮辱する言動を罰する罪である。 従来の法定刑は、30日未満の拘留か1万円未満の科料だけだった。1年以下の懲役・禁錮
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’22参院選 物価高と暮らし 安心支える分配の道筋を
2022/6/23 02:06 1712文字参院選が公示された。大きな争点の一つが、国民生活を圧迫する物価高である。 とりわけ所得の低い人たちが打撃を受ける。新型コロナウイルス禍であらわになった深刻な格差がさらに広がってしまう。 各党に求められているのは、国民が安心して暮らせる社会のビジョンを示すことだ。 東京都港区の増上寺で先週、雨にもか
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’22参院選 きょう公示 民主主義問い直す機会に
2022/6/22 02:00 1656文字参院選がきょう公示される。 発足から8カ月余が過ぎた岸田文雄政権の実績を、有権者がどう評価するのか。それが問われる選挙である。物価高や円安への対策などが主な争点となる。 ただし、忘れてはならない視点がある。ロシアのウクライナ侵攻により、世界中で「民主主義の危機」が叫ばれる中での選挙だということだ。
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核禁止条約の初会合 岸田首相は参加の決断を
2022/6/21 02:01 870文字核兵器禁止条約の初の締約国会議がウィーンで、きょう始まる。 ロシアのウクライナ侵攻で核兵器使用のリスクが現実味を帯びる中、「核なき世界」を目指す国々が一堂に会する意義は大きい。 核兵器の製造から使用、威嚇までを禁じる条約で、2017年に国連で採択され、昨年発効した。62カ国・地域が批准している。
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令和臨調が発足 課題先送りを絶つ契機に
2022/6/21 02:01 844文字長年先送りされてきた国の根幹にかかわる課題をどう解決に導くか。政党や国民を巻き込んだ幅広い議論を期待したい。 経済界と労働組合、有識者らでつくる「令和国民会議(令和臨調)」が発足した。国会や選挙制度のあり方、財政・社会保障など三つのテーマについて討議し、年内に提言をまとめる。 背景には、日本社会の
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