
「終わり」が意識される時代に「はじまり」へのヒントを見つけたいと願いつつ――。佐藤千矢子論説委員のコラムです。
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スーダンと坂根さん=佐藤千矢子
2023/6/2 13:06 907文字内戦状態にあるアフリカ北東部のスーダンから、自衛隊機などを使って退避してきた人々の中に、国際協力機構(JICA)スーダン事務所長の坂根宏治さん(55)がいる。 スーダンでは、長期独裁のバシル政権が2019年に崩壊し、民主化プロセスが始まった。ところが、21年に軍と準軍事組織「即応支援部隊」(RSF
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「広島ビジョン」に思う=佐藤千矢子
2023/5/26 13:15 898文字今から約6年前、国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のノーベル平和賞の授賞式で、被爆者のサーロー節子さんは、次のように演説した。「人類と核兵器は共存できない」「核兵器は必要悪ではなく絶対悪だ」 そして、13歳で被爆した時、破壊された建物の下で身動きができないままに聞いた言葉を、核廃
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もっと暴れて立憲若手=佐藤千矢子
2023/5/19 13:05 895文字立憲民主党の泉健太代表が、次の衆院選で150議席以上を獲得できなければ代表を辞任する考えを示し、「無謀だ」「いや当然だ」と騒ぎになっている。 立憲は現在97議席。先日の衆参補選の結果を受け、執行部批判に応えるため、高い目標を示したのだろう。だが、衆院解散がいつあるのか決まってもいない時期に、獲得議
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統一地方選を振り返る=佐藤千矢子
2023/5/12 13:09 881文字先日の統一地方選と衆参5補選では、政党の強弱について、三つのことが浮き彫りになった。躍進する維新、弱い野党、決して強くない与党――である。 決して強くない与党、というのは、公明で想定外に多くの落選者が出たことや、衆参の補選で自民が4勝したとはいえ、辛勝だったことによる。 と、ここまでは一般的な分析
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街頭演説会場で考えた=佐藤千矢子
2023/4/28 13:07 889文字岸田文雄首相が和歌山市の選挙演説会場で爆発物を投げられる事件があり、選挙での要人警護のあり方が改めて問われている。 事件後にどんな変化が起きているのかを見ようと、衆院千葉5区の補欠選挙を、最終日の22日にのぞいてみた。 首相の最終演説の場となった千葉県市川市の南行徳駅前には、約3000人の聴衆が集
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首相の「やってる感」=佐藤千矢子
2023/4/21 13:15 903文字ぽつぽつと降り出した小雨が、ひんやり感じられる日だった。 東京・永田町にある参議院の議員会館前の歩道。道行く人々の邪魔にならないようにと気を使いながら、私は性的マイノリティーの子どものいる親たちを囲んで、話を聞いていた。 「差別の禁止」を明記した法整備を求める要望書を、親たちが森雅子参院議員に提出
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暗殺史と山上被告=佐藤千矢子
2023/4/14 13:00 895文字安倍晋三元首相の銃撃事件で、山上徹也被告が追起訴され、一連の捜査が終わった。7月8日には、安倍さんの一周忌を迎える。政界の注目は、自民党最大派閥・安倍派の新会長選びに集まるが、私は、歴史的事件の背景を考え直すことに、より関心がある。 首相経験者の暗殺は、1936(昭和11)年の2・26事件以来で、
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「穴はどこ?」から15年=佐藤千矢子
2023/4/7 13:10 911文字「ところで原爆が落ちたのは、どの辺りだったんですか。どこに穴があいたんですか?」 2008年、広島で主要8カ国の下院議長会議(G8議長サミット)が開かれた時のこと。市内視察の途中で、ある国の議長からこんな質問が出たという。会議には米国のペロシ下院議長、河野洋平衆院議長らが参加していた。 日本側は驚