特集 皇位継承

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安定的な皇位継承を巡る議論が平行線をたどっています。天皇陛下より若い資格者は、秋篠宮さまと長男悠仁さまだけです。

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 政府は2021年3月23日、安定的な皇位継承策を議論する有識者会議の初会合を首相官邸で開いた。皇位継承資格を女性皇族に広げるかや、女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」を認めるかなどが主な論点となる。戦後に皇室を離れた旧宮家の男系男子孫が復帰する案の是非についても検討する。有識者から意見を聞いて検討を進め、結果を国会に報告する。

陛下より若い資格者 秋篠宮さまと悠仁さま

 今回の議論は4年前、天皇退位を認める特例法の付帯決議に、安定的な皇位継承の課題について「法施行後速やかに検討」と記されたことを受けたものだ。

次世代の皇室と皇位継承の論点(年齢は2021年3月時点)
次世代の皇室と皇位継承の論点(年齢は2021年3月時点)

 現制度では皇位継承資格を持つのは男系男子に限られている。天皇陛下より若い資格者は、継承順位1位の秋篠宮さまと長男悠仁さまだけしかいない。

 にもかかわらず議論が進まないのは、天皇像を巡る意見の隔たりが大きいからだ。保守派は、天皇の本質は祭祀(さいし)をつかさどることだと主張している。祭主の地位が男系で継承されてきた伝統を重んじている。

 だが現行憲法は1条で、天皇を「日本国民統合の象徴」と定める。被災地や地方の訪問など国民と交流する公的行為は、憲法に規定はないが、象徴としての役割を果たすうえで重要だ。2年前の退位礼正殿の儀で、上皇さまは「象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します」とおことばを述べられた。天皇陛下もこうした姿勢を継承され、国民との交流を深めている。

 小泉政権が05年に女性・女系天皇を容認する報告書を出してから、既に15年が過ぎた。世論調査では女性天皇を容認する意見が7割前後にのぼるが、この間、自民党政権は議論を避けてきた。女性皇族は結婚で皇室を離れるため、今後、悠仁さまと同世代の皇族がいなくなる可能性がある。公務の担い手が減れば、国民が皇室と接する機会も少なくなる。

有識者会議のメンバー

氏名(敬称略) 肩書など 座長
清家  篤 前慶応義塾長(労働経済学)
冨田 哲郎 JR東日本会長  
宮崎  緑 千葉商科大教授(国際政治)  
細谷 雄一 慶応大教授(国際政治)  
中江 有里 作家、俳優  
大橋真由美 上智大教授(行政法)  

退位特例法の付帯決議

一 政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方のご年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方のご事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。
(二、三は略)

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