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春に翔る・日南学園の挑戦

16年センバツ 第1部/3 選手を育てる 「視野を広げる経験に」 /宮崎

練習後に選手たちを集める金川監督。時には厳しい言葉で叱ることも

 <第88回選抜高校野球>

     「自分たちよりも強い選手がたくさんいることを、初めて知った」

     日南学園の主将として県内敵なしで臨んだ21年前の春。春夏通じて初の甲子園出場ながら「俺たちは強いから優勝できる」という自信は準々決勝で砕かれた。自分の視野の狭さに気付き、「もっと野球がやりたい」と思った。それが金川豪一郎監督(38)の原点だ。

     卒業後は明治大に進むが、3年時に膝を壊し、教員免許を取って指導者へ。甲子園11勝の前任、小川茂仁監督(69)に誘われて2000年に母校のコーチとなり、07年から監督を務める。

     その監督が手がけるのはどんなチームか。佐々木啓太コーチ(27)は5年前に初めて目にした光景を思い出す。当たり損ねの打球に凡エラー。同校は当時既に甲子園に9回出場し、県内でも屈指の強豪校。「こんな子がいるのか、と。レベルが高い選手ばかりと思っていたので驚いた」

     野球名門校にありがちな中学生の勧誘をしないからだ。「『日南学園でやりたい』と門をたたいてくれるのはありがたい。みんな野球を上手にさせてあげたい」

     だから、方針は徹底して「教育」だ。多少うまい選手でも「足のさばき方、グラブの使い方など基本ができていない子は一から教え直す」(佐々木コーチ)。紅白試合や練習試合では全員に出場機会を与え、けがで練習できない選手にはノックの手伝いなどの役割を与える。「下手だったけど何度も練習試合に出してもらえ、期待に応えようとずっと真面目に頑張った。打撃が良くなったのを見てもらえ、3年になって初めてベンチ入りができました」。前チームのメンバー、山田義喜さん(3年)は感謝を込めて振り返る。

     技術だけではない。あいさつ、礼儀、服装などの生活面も見ている。「プロや社会人など野球でメシが食えるのは一握り。だから社会に出て困らない基本が大事」だからだ。「『トイレのスリッパが並んでいなかったら、直せ。小さな事を徹底しろ』と言われた」と明かすのは前田智也・前主将(3年)。「そんな気配りが結局、野球でも周りをよく見てプレーすることにつながった」と話す。

     練習や生活態度がだらけていれば「頑張れないやつと野球はできない」と厳しい言葉で叱責することもある。目指す「粘り強い野球」は「全力で取り組む真剣さ」も意味する。

     出場が決まったセンバツは、努力してきた選手たちが成果を見せる舞台。「甲子園に挑むことで選手の視野が広がり、人間として大きくなる経験になるとうれしい」と金川監督は話す。【宮原健太】

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