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野球を諦めない

/4 母国背負い一歩ずつ

投球練習をするアブドラ・バラ選手=徳島県鳴門市で、幾島健太郎撮影

 <第88回選抜高校野球>

     パキスタン代表の投手がこの春、四国アイランドリーグplusのマウンドに立つ。徳島インディゴソックスで今季からプレーするアブドラ・バラさん(19)だ。身長184センチの左腕。イスラム教徒のため肉食に制限があり、細身で球速は最速139キロ。体作りとパワーアップが課題だ。「徳島で成長して日本のプロ野球を目指す」と貪欲さを見せる。

     パキスタン生まれ。8歳の時に父親の仕事の都合で家族と来日した。母国で盛んなクリケットはしたことがあるが、野球は見たこともなかった。小学4年の時に同級生に誘われて当時住んでいた埼玉県の少年野球チームに入った。友達と練習できるのが楽しかった。県立八潮高で甲子園を目指したが、3年夏の埼玉大会は3回戦で敗退した。

     大学で野球を続けたかったが、学費を用意できなかった。諦めかけた時、独立リーグの「06BULLS」(東大阪市)から声が掛かった。午前2時から新聞配達のアルバイトをして練習する日々。初めての1人暮らしにも戸惑った。信仰上、豚肉は口にせず、ほかの肉も制約がある。自分で煮込む野菜カレーなどでしのいだ。

     昨夏に転機が訪れた。バラさんの投球を見たパキスタン代表の色川冬馬監督(26)が腕の強さを高く評価し、9月に台湾であったアジア選手権のメンバーに選んだ。チーム最年少だ。中東での指導経験もある色川監督は2015年から同国代表を率いる。パキスタンの野球人口は約500人とされるが、経済的な理由でスポーツを諦める人が多いという。

     インドネシアとの初戦でバラさんが先発した。チームは勝ち、米国で開催されるワールド・ベースボール・クラシックの予選に初出場することが決まった。

     快挙だが、苦い経験もした。中盤、肩は限界だったが、監督からの交代の打診を押し切って続投。満塁のピンチを招いた後でマウンドを降りた。監督から「お前だけの試合じゃない。代表の意味を考えろ」と言われた。未来のエース候補への期待の裏返しだ。色川監督は「今後、パキスタンの野球界を背負う存在。プロで活躍して“ジャパニーズドリーム”をかなえ、母国の球児たちの夢になってほしい」と願っている。

     バラさんは1月、徳島で始動した。球速アップを目標に、白米を多く食べ、体重を増やす努力をしている。「一歩ずつ力をつけてプロに上がりたい」。4月の開幕が待ちきれない。【武内彩】=つづく

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