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春に翔る・日南学園の挑戦

16年センバツ 第2部/7止 2人のコーチ 選手を叱咤する“兄貴” /宮崎

走塁について指導する佐々木コーチ(右手前)

 <第88回選抜高校野球>

     「しっかりと声を出せ!」「もっと足を上げて」。繰り返される練習の中で部員たちの動きが鈍ると、すかさず叱咤(しった)する声が飛ぶ。教員としての勤務後にコーチを務め、ときに一緒に走り、選手たちの動きを見つめる佐々木啓太さん(28)と山田祐揮さん(23)。佐々木さんは2月まで、山田さんは現在も部員たちと共に合宿所で暮らしてきた、兄貴のような存在だ。

     佐々木さんは栃木県の佐野日大−関東学院大で捕手経験があり、現在は国語教諭。山田さんは熊本工−近畿大で投手、外野手などを経験し、現在は社会科講師。ともに恩師から金川豪一郎監督を紹介され、野球指導を学ぶため、同校に勤めることになった。

     同じ屋根の下で暮らしてきただけに、食事を終えるのが遅かったり、朝の体操で動きが鈍かったりと部員の小さな変化に気付くことがある。そんな時は「大丈夫か」と声をかけ、自室で話を聞くこともある。たとえば、山田さんが1年生の中で気になっていたのが芳賀憲伸選手。守備の動きがスムーズで「これは伸びしろがある」と思っていたが、おとなしく、とくに先輩には遠慮がち。そこで昨秋からは毎日のように声をかけ「新チームで遊撃手をつかみにいけ」と励ました。その成果か、試合に起用されると思い切ったプレーを見せ、ベンチ入りメンバーに選ばれた。

     夕食後の午後7時半以降、合宿所隣のグラウンドで始まる夜の自主練習でもコーチの仕事は続く。

     佐々木さんはグラウンドに出向き、アドバイスするなど積極的に関わるタイプ。悩みを持つ誰もが積極的に相談に来れるわけでもなく、また、自分の方が部員の悩みに気付くこともあるためだ。

     一方で山田さんは「選手が自分で考える力を大事にしたい」と相談を受けることに徹する。ただ、繰り返し口にすることはある。

     2009年夏の甲子園で味わった苦い経験があるからだ。初戦、序盤で守備固めに左翼手で起用された山田さんは二塁走者がいる場面でゴロをはじき、失点につなげてしまう。試合は1点差負け。山田さんは守備練習を嫌った自分を激しく責めた。だから今、選手たちに「基礎練習が何より大事だ」と繰り返す。

     身近に接してきたからこそ感じるチームの長所は「1人に注意したらすぐ全員に伝わるなどチーム力がある」と佐々木さん。山田さんも「まとまる動きが早い」と同意見だ。ともに、教え子たちがのびのびと大舞台を駆け回る姿を待ち望んでいる。【宮原健太】=第2部おわり

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