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再び挑む日本一

’16センバツ鹿児島実・いざ甲子園/中 一体感で重圧を克服 /鹿児島

併殺の守備練習をする選手たち=和田大典撮影

 <第88回選抜高校野球>

     「それでビッグがくるんだろ」。3月8日夕、鹿児島実のグラウンドに宮下正一監督(43)の怒声が響いた。ランナーを置いた守備練習。「ビッグ」とは「ビッグイニング」のことで、ミスからの大量失点を戒める合言葉になっている。甲子園を前に内野陣は守備が乱れ、監督の“ビッグ”の怒声が回数を増していた。

     遊撃手の井戸田智也選手(1年)も一塁への送球がそれ叱られた。昨秋の新チームからレギュラーとなり「最初は、楽しくてがむしゃらにプレーしていた。でも最近はすきができてしまっている」。兄の井戸田貴也捕手(2年)は「大会を前に、みんな『ミスしたらどうしよう』と前に出切れなくなっている」と分析する。

     鹿児島実の練習は厳しい。ミスをした選手は名前を呼ばれ、時に守備から外されたり、グラウンドを走らされる。レフトの追立壮輝選手(2年)は、「いつもプレッシャーがあるので、本番は『練習の方が怖い』と楽に臨める」と苦笑い。センターの佐々木幸大選手(2年)は「重圧は練習を重ねて克服するしかない」と真剣な表情だ。

     ただ、「それも、今の選手がすごいからですよ」と1996年春の全国制覇メンバー、岩切信哉コーチ(36)が、柔和な笑顔をみせた。先ほどまで選手を怒鳴っていたばかり。「落ち込んでしまわないかと心配もするけど、みんな前向きに取り組む。それは、2年生が中心になって支え合っているからでしょうね」

     井戸田智選手は、内野手の先輩、白沢雄隆選手(2年)から、「自分が一番うまいと思え。前に出られるようになるから」とアドバイスを受けた。ポジション争いをする土井剛太選手(2年)からさえも、「お前のミスは2年生が何とかするから、積極的にいけ」と声を掛けてもらい「先輩たちに助けてもらっている」とほほ笑む。

     どれだけ叱られた選手も、取材に対し自分の課題を生き生きと答えてくれる。その驚きを伝えると、岩切コーチは答えてくれた。「僕なんかは萎縮していましたけど。カジツ(鹿児島実)は、軍隊のような古くさい野球をいまだ続けているけど、こいつらはそれを乗り切ってくる。チームの一体感のたまものでしょう」【尾垣和幸】

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