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センバツ甲子園

「秀岳館旋風」最後まで(その1) 初の4強、アルプス拍手 /熊本

グラウンドを後にする前にあいさつする秀岳館の選手たち
2回戦の南陽工相手に左越え本塁打を放つ広部選手

 <第88回選抜高校野球>

     第88回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第10日の30日、秀岳館は準決勝で古豪、高松商(香川)相手に延長戦にもつれ込む熱戦を繰り広げた。2−4で惜敗したものの、投打にわたるファイトあふれるプレーに、スタンドからは「また夏に返ってこい」と大きな拍手と歓声が上がった。【出口絢、尾垣和幸】

     ▽準決勝

    高松商

      00010100002=4

      00000200000=2

    秀岳館

     2点を追う延長十一回裏、秀岳館は1死一、二塁のチャンスを迎えた。アルプススタンドの大応援団は、準々決勝でサヨナラ勝ちした木更津総合戦の再現を信じ、両手を合わせる。結局、併殺打に終わり、一瞬ぼうぜんとなったが、すぐに選手をねぎらう渦に変わった。

     相手投手の球を捉ええきれず、スコアボードは「0」が並んだ。木村勇次選手(3年)の母博美さん(46)は「淡々と終わり過ぎ、もっと粘らな」と一言。四回に先制され、六回には追加点を許すが、声援を送る野球部員、橋本大輝さん(2年)は「すぐに返します」。

     「この回一気に試合を決めよう」。六回裏2死から粘りを見せる。九鬼隆平主将(3年)が出塁すると、続く天本昂佑選手(同)が左翼線へ適時二塁打。天本選手の母里香さん(46)は「もっと打て」と黄色いメガホンで叫び、広部就平選手(2年)が内野安打。広部選手の父茂美さん(48)も「練習の成果や」と大喜び。

     白、青、黄のメガホンが鳴り響く中、七回から有村大誠投手(3年)が登板。共に追加点を許すことなく延長戦に。13年前のセンバツでもスタンドで応援した野球部OBの出田将章さん(29)は「高校野球は一回きり、しびれます」と見つめる。

     延長十一回表に勝ち越されるが、ナインは「まだ終わっていない」。その裏も中前打が飛び出すなど粘りを見せたが、惜しくも後続を断たれた。

     開会式から毎試合観戦し、エールを送った中川静也校長は「すごい野球部。たくさんの支援があって喜びを感じとったと思う」。県高野連の工木雄太郎理事長(45)は「最近低迷していた県勢に明るい話題をもたらしてくれた。地区大会真っ最中の他校にも刺激になったと思う」とナインの活躍を称えた。

     試合終了後、佐藤瑞起マネジャー(3年)は「悔しいです」と言葉少な。山口幸七コーチは「選手の頑張りがあってここまでこれた。これで終わりじゃない」と話した。

    「後輩の活躍楽しみ」 野球部、60年前創部メンバー吉川さん

     「自分たちが作った野球部で活躍する姿に感動した。ありがとう」。1956年、前身の八代商業高校時代に野球部を創部した選手の一人、吉川昭さん(76)は八代市内の自宅で全4試合を観戦。「60年前は、甲子園ベスト4という結果など想像できなかった」と目を細めた。

     吉川さんが2年生の時、別の高校で野球部長だった教諭に直談判した。「野球部を作りたい」。家業の魚屋を継ぐために進学したが、中学時代に打ち込んだ野球が忘れられなかった。与えられたのは陸上部などとの共有グラウンドの一部。「野球が楽しくできればいいと考えていたから甲子園は遠い存在だった」と当時を振り返る。

     創部当時の部員は1、2年生13人だけだった。それが13年前にはセンバツ初出場を果たすなど県内有数の強豪校になった。部員は今や67人。

     惜しくも目標の日本一には届かなかったが、それでも「鍛治舎巧監督の下、選手一人一人に考える野球が浸透している」と絶賛。孫ほどの年の差の後輩の活躍に「今から夏の戦いが楽しみだよ」と話した。【柿崎誠】


     ■青春譜

    「しっかりやり直す」 広部就平選手=2年

     「自分のミスで負けてしまった」。堅守が光った守備でほころびが出て、十一回表に1点を許した。

     がっしりした体格で甲子園で打ちまくった。二回戦で本塁打、準々決勝では2死から同点の適時打を放った。「伸び伸びとやったらおのずと結果はついてくる」。緊張することなく練習の成果を発揮する頼もしい2年生。その彼が「先輩に迷惑をかけた」と肩を落とした。

     昨年6月の自主練習時に跳ね返った打球で目を負傷。裏方に回り、支える側の大変さに気付いた。周囲に対し感謝の気持ちを持つようになった。1月中旬、肉離れで練習を離れた時は、堀江隆樹コーチに頼んで一人室内練習場でティーバッティングに励んだ。

     天本昂佑選手(3年)とバッティングの話をよくする。「飛距離がすごくて、見てても勉強になる」と語るなど尊敬する先輩の一人だ。最終回に安打を放った時、準々決勝と同じく続きたかったが「芯で捉えたけどアウトになった」。1プレーの重みを痛感し「しっかりやり直したい」と言い、早くも夏を見つめる。【出口絢】

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