第98回全国高校野球選手権大阪大会には、「最後の夏」に挑む女子選手たちがいる。日本高野連の規定により、試合には出られない。それでも、練習のノック役を任されたり、ユニホームを着て声援を送ったり、それぞれのかたちで部活動の集大成に臨む。【大森治幸】
野球帽から、ゴムバンドでまとめた長い髪がのぞく。緑風冠(大東市)の伊東盟子さん(3年)は、野球部員36人中唯一の女子選手だ。中学でソフトボールに打ち込んだが、進学先には部がなかった。クラス副担任だった新山佳太監督(25)の誘いもあり、野球部に入った。
当初はソフトボールとの違いに苦労した。守備練習では、速い打球をうまく取れない。「ボールが足に当たって毎日一つは青あざを作っていた」という。走り込みでも、男子より遅れてしまう。それでも「女子だからできなくて当然」と思われるのが嫌で、ひたすら食らいついた。今では「野球の技術は申し分ない」と、新山監督も太鼓判を押す。だが、公式戦には出場できない。その代わり、試合前練習のノック役を任された。今までの2年…
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