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未踏の頂へ

静高センバツ’17/中 主将の人柄、選手間の結束強める 「和」体現する総合力 /静岡

練習後、ナインの前で話をする小柳廉主将(右端)=静岡市葵区の静岡高校で

 <第89回選抜高校野球>

     「覇道と王道の違いを知っているか」。冷たい風が吹き込む静高のトレーニングルームで、今月下旬、栗林俊輔監督が改めて選手に人生訓を問うた。

     覇道とは、力で制圧し国を治める人。これに対し、王道は人徳によって治める人を指す。「人間的に信用され、慕われるようになれ」

     小柳廉主将(2年)が志したのは、「王道」としてのチームだった。静高がセンバツに出場した2年前。当時のチームは、主将の安本竜二さん(現・法政大野球部)、堀内謙伍さん(同・プロ野球の楽天)、鈴木将平さん(同・西武)と強打者がそろった。その年の秋以降の公式戦で、本塁打計12本を放つなど圧倒的な強さで50年ぶりに東海大会を制した。

     昨年夏、主将に任命されると「自分に務まるだろうか」と不安を覚えた。というのも当時は3番手の投手。安本さんらのようにプレーでチームを引っ張ることは難しかった。

     悩んだ末に浮かんだのが「みんなで野球をしたい」という初心だった。学校の独自基準で選抜する「学校裁量枠」と「一般入試」で入学した選手間の壁をなくしたいという思いもあった。

     目立たなくても人間的に信頼され、ついていきたいと思われる主将になろうと決意。そこで学年に関係なく、一人一人に話しかけることから始めた。「お前はどんなチームにしたい?」「何を意識して練習している?」

     冷静沈着だが、冗談で仲間を笑わせるときもある。選手は「厳しいことも言うが、決して偉ぶらない」と口をそろえ、栗林監督も「気骨があって頼りになる」と評価する。

     そんな主将の人柄が、チームのスローガンである「和」を体現する総合型チームに結実した。

     試合でも効果が表れている。例えば、昨年10月に行われた県大会準決勝の聖隷クリストファー戦で、遊撃手の村松開人選手(1年)が失策すると、三塁手の大石哲平選手(2年)が「次に取れば大丈夫」とフォローした。村松選手は「尊敬できる先輩ばかり」と感謝を忘れない。

     東海地区大会の約1週間前に行った山梨学院高との練習試合で2-12で大敗しても、「チーム全体で、練習の質を高めようと前を向いた」と稲角塁選手(2年)は振り返る。

     悪い流れはチーム全体ですぐに断ち切る。その結果、センバツ出場校を決める上で重要な参考資料となる東海地区大会では、4試合中2試合でコールド勝ちし、優勝した。

     2年前と比べてスター性のある野手はいない。何度踏まれても起き上がる雑草のような粘り強さ、個々の弱点をチーム全体で支えあう意識がはぐくまれた。記録もチームの特徴を証明する。秋からの公式戦(計14試合)での本塁打は1本だが、犠打飛は43本だった。

     小柳主将を中心に結束したチームは、総合力で全国の強豪に立ち向かう。【古川幸奈】

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