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未踏の頂へ

静高センバツ’17/下 支える家族 選手と思い一つ /静岡

センバツ出場決定の報告を待つ選手の様子を見つめる家族ら=静岡市葵区の静岡高で

 <第89回選抜高校野球>

     29人いる野球部員のうち15人が静岡市内の寮で暮らす。

     浜松市に実家がある藤田誠也選手(2年)もその一人だ。母正美さん(43)は約2年前の入寮日当日の出来事を今も忘れない。家族で寮に送り届けた後に立ち寄った飲食店で、1杯のかけそばも、のどを通らなかった。「さみしさや不安がこみあげてきた」と正美さんは振り返る。

     藤田選手が帰省するのは半年に1回ほど。一緒にいる時間が少ない分、家族は息子のわずかな変化に気を配る。父智典さん(44)は、無料通信アプリ「LINE」に「打てない」などと連絡があると、片道約1時間かけて会いに行き、励ます。藤田選手は、そんな父を「尊敬し、感謝している」と慕う。離れていても家族は精神的な支柱だ。

     午後10時半過ぎ、稲角塁選手(2年)は練習を終え、静岡市内の自宅に帰った。母陽子さん(54)は食事を用意して帰宅を待っていた。鼻歌を歌いながら帰ってくると「今日の調子は良かったんだな」とほっとする。料理は、胃に負担のかかる揚げ物を避け、野菜を中心にしている。冷蔵庫には15種類以上の野菜を保存している。食事中の会話は少ないが、食べる量や表情からその日の体調を読み取る。陽子さんが練習着の洗濯や食器洗いを終え、就寝するのは午前0時を過ぎる。

     静岡市の自宅から通う森康太朗捕手(2年)の母典子さん(47)は、午前5時半に起きて朝食や弁当を準備する。「ぱっと起きられるように、半身に毛布をかけて寝ています」とソファで一夜を過ごす日もある。

     野球部の活動も、選手の家族が支える。杉山隼輔選手(2年)の父政博さんは、選手が遠征などで使うバスの運転手を務める。仕事の合間を縫って時間を作る。

     稲角選手の父巧さん(52)は父母会長として、応援用の楽器や時にバッティングマシンを球場に運ぶため、レンタル会社に輸送用トラックを手配し、運転する。陽子さんは「体力的にきつく、並の根性では選手の親は務まらない。しかし、選手とその家族が、これほど思いを同じにしてがんばる機会は二度とないかもしれない」と意気込む。

     センバツ出場が決まった27日。校内では「おめでとう」「バンザイ」という歓喜の声が飛び交った。そんな中、選手の家族は静かにほっとした表情を浮かべ、「これからもサポートしていく」(藤田選手の母正美さん)と改めて誓った。静高ナインは強い支援を受け甲子園に臨む。【古川幸奈】

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