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未踏の頂へ

静高センバツ’17 静岡・接骨院の田中豪輝さん 選手たちの「秘密基地」 /静岡

大石哲平選手(2年)に施術する田中豪輝さん=静岡市葵区で

 <第89回選抜高校野球>

    親身に接し心身リフレッシュ

     静岡市葵区で接骨院を営む田中豪輝(ごうき)さん(42)は、センバツに向けて日々猛練習に励む静岡高野球部の主力選手にとって兄のような存在だ。丁寧な施術でコンディションを整え、けがを予防するだけでなく、冗談を交えた軽快なトークで心身の疲れを解きほぐし、陰から選手の活躍を後押ししている。

     現在は、森康太朗捕手、稲角塁選手、大石哲平選手=いずれも2年=の3人が週1回訪れ、電気治療やマッサージなどを受けている。

     「親に話せないことを話せる何でも屋になれたら」。施術中、田中さんは積極的に3人と会話する。話題は、学校での出来事や日々の小さな悩みなどさまざまだ。田中さんの話に、選手は腹を抱えて笑い、体も心も軽くなって帰宅する。田中さんは、兄であり何でも話せる親友のような存在だ。

     田中さんも高校球児だった。静岡南高で捕手として活躍していたが、中学時代から痛めていた右肘の状態が2年の夏に悪化。練習中に激痛が走り、病院で剥離骨折と診断された。手術をしたが右肘は回復せず、選手生命は絶たれた。「もっと早く気付いたら……」。悔いだけが残った。

     「俺みたいな選手を二度と出したくない」。高校卒業後、専門学校に6年通い2000年に開業すると、陽気で気さくな性格と丁寧な施術が評判を呼び、これまで面倒を見た球児は50人以上。静高は、14年夏から3季連続で甲子園に出場した堀内謙伍捕手(現プロ野球楽天)らが顔を出すようになり、関係が深まったという。

     田中さんは、休みが合う日はできるだけ試合に足を運び、選手のプレーを観察する。異変に気づくとすぐに連絡を取り、適切な処置を施してけがを予防する。これまで診てきた球児のほとんどをけがなく送り出した。

     森捕手は「来るたびに田中さんの面白さに癒やされる」、大石選手も「ここに来るのが本当に楽しい」と話す。3人の選手にとって接骨院は、練習から離れてリラックスできる大切な「秘密基地」のよう。田中さんは「私の代わりにこの子たちが夢をかなえてくれた。笑顔で大好きな野球をできるようサポートしていきたい」と話している。【古川幸奈】

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