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第89回選抜高校野球

工大福井 初出場の記憶/1 「日本一練習」つかんだ春 「恥ずかしい試合できない」 /福井

 <センバツ2017>

     3月19日開幕の第89回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)に、福井工大福井が2年連続5回目の出場をする。県内屈指の強豪校となった同校だが、初出場でベスト8入りした1976年の第48回大会以来、センバツでの勝利はない。日々厳しい練習に取り組む選手たちの目標は春の1勝だ。41年前に甲子園を沸かした元球児らが当時の熱戦を振り返り、後輩にエールを送る。

     「入部時は70~80人いた同級生が、夏には11人しか残っていなかったよ」

     当時の福井(現・福井工大福井)のエース、敦賀(旧姓・嶋崎)武美さん(58)は懐かしそうに振り返った。

     率いていたのは三原新二郎監督。就任前に夏の甲子園で広陵(広島)を準優勝に導いた名将だが、スパルタ式の練習でも知られた。

     部員の大半を占める寮生は毎朝学校近くの寮から足羽山のテレビ塔まで往復約1時間かけてランニング。休日は午前8時から午後4時まで練習し、更に10キロ走った。昼食と給水は許されず、プレーで失敗すれば容赦なく鉄拳制裁を受けた。

     控え投手だった清水恵二さん(57)は「日本で一番練習している自信は皆持っていた」と話す。

     厳しい練習を耐えて臨んだ75年の第55回秋季知事杯争奪高校野球大会(現在の秋季県大会)。順調に勝ち上がった福井はJR福井駅東側にあった福井市営球場で決勝を迎えた。相手は強豪校の福井商。現在3位まで出場できる北信越大会にはその年、優勝校しか出場できなかった。

     試合は接戦となり、2-2で延長戦に突入。十二回表に福井商が1点を勝ち越した。その裏、1死一塁で5番打者の笹島欣見(よしみ)さん(58)はフライで凡退。笹見さんは「肩を落としてベンチに戻ったら、もう9割方負けの雰囲気でしたよ」と語った。

     追い詰められた場面で打席に入ったのは敦賀さんだった。内角寄りの直球を「無心で」振り抜くと、重苦しい空気が一変した。打球は相手中堅手の頭上を越え、ベンチにいた全員が立ち上がり、「回れ回れ!」と叫んだ。一塁走者が還り、同点に追いついた。「今で言う『神ってる』でしたね」と笹島さん。勢いそのまま延長十四回でサヨナラ勝利。北信越大会でも優勝し、センバツ出場につなげた。

     センバツ出場決定の時の気持ちについて、敦賀さんは「喜ぶよりも身が引き締まった。恥ずかしい試合はできないと思ったね」と話した。

     76年3月25日、大阪市内で開かれた組み合わせ抽選会。初戦の対戦相手は、東海一の好投手と言われた太田英寿投手を擁する東海大一(静岡)に決まった。=つづく

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