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未踏の頂へ

静高センバツ’17 下宿で15人世話 近藤ゆみさん /静岡

下宿先で選手と談笑する近藤ゆみさん(中央後ろ)=静岡市葵区で

 <第89回選抜高校野球>

    選手に愛情、母のごとく 午前4時半起き 家事フル回転、信頼厚く

     「ただいまー」。午後9時ごろ、静岡高(静岡市葵区)から自転車で5分ほどの距離にある住宅街。練習を終えて続々と帰宅してきた野球部の選手を、近藤ゆみさん(45)はやわらかな笑顔で迎えた。部員29人のうち、自宅が遠くて通えない15人が3階建ての住宅に下宿しており、食事や洗濯など身の回りの世話を近藤さんが一手に引き受けている。親元を離れて暮らす選手にとって、母親のような存在だ。【古川幸奈】

     この住宅で暮らす近藤さんの母晴恵さん(73)が約35年前、静高野球部に入部する親戚から下宿を頼まれ、その時、一緒に他の選手も預かるようになった。以後、晴恵さんが下宿する選手の世話を続けてきた。ところが体調を崩したことから、近くに住む近藤さんが勤め先を辞め、昨年4月から晴恵さんに代わって炊事洗濯全般を担当するようになった。

     近藤さんの朝は早い。午前4時半に起床し、朝食の準備にとりかかる。選手を学校に送り出した後も、リビングやダイニングなどの掃除が待っている。「毎日やらないと砂がたまってすぐ汚くなっちゃうから」。風呂や廊下の隅々まできれいに磨き、一通り終わるのは昼過ぎだ。

     少しの休憩を挟んで、すぐに夕食の準備のため買い出しへ向かう。献立には毎日頭を悩ませるが、普段は緑黄色野菜を取り入れるなどバランスの良い食事を心がけ、試合の前は炭水化物を多めにする。毎食炊くご飯の量は3升だ。「食事のことをよく知っている。栄養管理はゆみさんに任せれば大丈夫」=山本貫太選手(1年)=と、選手たちは全幅の信頼を置く。

     一方で、日々選手の顔色を見ながら体調面や精神面の変化にも気を配る。体調を崩した時は病院に付き添い、元気がない時は励ます。春翔一朗投手(同)は「ゆみさんがいなければ今の自分はない」と言い切る。

     練習では気を張っている選手も、近藤さんの前ではリラックスモードに。夕食を終えると、学校での出来事や練習のことなどを近藤さんに話す。

     1日の世話を終え帰宅するのはいつも深夜。「ゆっくり寝たいな」と思うこともあるが、作った料理を「おいしい」と食べ、わいわい楽しそうに話す選手の姿を見ると頑張れるという。「もっともっと強くなってもらうためにも、たくさん食べさせなきゃね」。センバツはもちろん、甲子園で観戦するつもりだ。

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