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高校野球・新世紀

第1部 消すな球音/4 有志の整形外科医サポート 早期発見で故障防げ

昨冬の肘肩検診で野球肘が見つかった栃木県内の高校生は今もリハビリを続けている

 野球を続けたくても肘や肩を痛めてやめざるをえない子どもたちは少なくない。学童期は骨や靱帯(じんたい)、腱(けん)の付着部分が未成熟で故障しやすい。また、肘の外側であると初期の段階ではほとんど痛みが出ず、手術が必要なまでに悪化してから気づく選手もいる。

 そのような状況を少しでも改善しようと2013年、栃木県で有志の整形外科医らが「野球医療サポート栃木」を設立し、15年度にNPO法人化した。毎年、小中高校生球児の肘肩を検診。今年度からは県高野連も協力し、県内全域に検診を拡大。自治医大の飯島裕生医師は「早期発見できれば重症化を防ぐことができる」と検査の重要性を説く。

 栃木県真岡市立中2年の手塚貴喜(たいき)さん(14)は昨年12月の検診で右肘離断性骨軟骨炎、外側の「野球肘」と診断された。「全く痛みはなかったので、言われた時はびっくりした」と振り返る。

 所属する中学の軟式野球部は昨夏、当時の3年生7人が引退し、部員9人となり、捕手は手塚さん一人になった。けん制など送球機会の多い捕手は他の野手よりも肘や肩に負担がかかりやすい。元々、手塚さんの肘には故障しやすい素因があったとみられ、さらに少人数というチーム事情も加わり大きな負担がかかった。約5カ月間は投球禁止となり、守備位置を遊撃手に変えた。今も定期的に通院する手塚さんは「検診で早く見つかったから手術せずに助かった」と話す。

 徳島大学整形外科は1981年から毎年、小学生を対象に肘肩の検診を行っている。洗顔や食事動作にも支障をきたしている野球少年の受診が多く、早期発見が必要と考えたからだ。現在では、学童大会の会場で行うと出場選手の8割以上が受けるなど関心は高まっている。だが、故障者は見つかる。昨年は1502人が1次検診を受診し、うち483人が病院での2次検診が必要と判断された。さらにX線検査で132人に骨軟骨障害が認められた。

 背景には、肘や肩を守ることに対しての指導者の理解不足がある。大事な試合になると球数が増えたり、「痛くても我慢して投げろ」と言ったりするのは珍しくない。栃木県のNPOは高野連と共に投球数の目安やストレッチの仕方などをまとめた野球手帳を作製。小学4、5年生に無料で配布し、故障を未然に防ぐ取り組みを始めた。

 栃木県の薬師寺運動器クリニック院長の伊澤一彦さんは「選手は我慢できる痛みなら『大丈夫』ということがある。大丈夫か?ではなく、痛くないか?と尋ねてほしい」と指摘。徳島大病院医師の松浦哲也さんは「指導者は子どもにとって野球はどうあるべきか考えてほしい」と警鐘を鳴らす。【長田舞子】=つづく

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