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夏の高校野球 亡き祖父の指輪、胸に 盛岡大付の比嘉主将

初戦を終え、武一さんの指輪を手に思い出を語る盛岡大付の比嘉賢伸主将=神戸市の宿舎ホテルで2017年8月9日午後7時、三瓶杜萌撮影

 〇盛岡大付(岩手)4-1作新学院(栃木)●(9日・甲子園、1回戦)

 9日にあった全国高校野球選手権大会第2日、盛岡大付(岩手)の4番で主将、比嘉賢伸(けんしん)選手(3年)は6日前に亡くなった祖父武一(たけいち)さん(75)の結婚指輪をネックレスのように首にかけ、初戦の作新学院(栃木)戦に臨んだ。野球を始めるきっかけをつくってくれた、大好きな祖父を近くに感じて立った打席。五回には2点二塁打を放ち、「勝利に貢献できた」と笑顔を見せた。

 「暇なら、キャッチボールでもせえへんか」。大阪市出身の比嘉選手が野球をするようになったのは、武一さんのひと言がきっかけだった。トラック運転手だった武一さんは毎日のように初孫の比嘉選手を家に呼び、野球中継を見たり球を投げ合ったりした。良い球を投げた時の武一さんの笑顔がうれしくて、比嘉選手は野球に興味を持ち始める。

 小学3年で地元の少年野球チームに加入すると、武一さんが練習や試合を見に来てくれるようになった。活躍すればほめ、ミスをすれば励ましてくれる優しさが、きつい練習に耐える原動力になった。

 その間、武一さんは何度もがんを患い、手術のたびに「賢伸に負けられへん」と乗り越えてきた。だが、今夏の岩手大会中に症状が悪化し、会話も難しい状態になってしまう。「お守りだと思って持っとけ」と父武博さん(47)から手渡されたのが、武一さんが長年大切にしていた結婚指輪だった。

 打席に立つ直前、比嘉選手はその指輪にそっと触れる。緊張がほぐれ、力がわいてくる。岩手大会で比嘉選手は2本塁打を放ち、打率4割を超えた。

 「野球に集中せえ」。武一さんの言いつけを守り、甲子園に来ていても大阪市内での葬儀には出ないまま、試合に臨んだ比嘉選手。1点リードの五回裏2死一、二塁の好機、振り抜いた打球はフェンスまで届き、走者を一掃した。「自分たちならまだまだ攻めていける」。厳しい戦いは続くが、指輪があれば、祖父が見守ってくれる気がする。【三瓶杜萌】

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