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高校野球・新世紀

第2部 少子・格差時代に/2 県外へ「留学」増加 沖縄が人材供給源に

大会後、ミーティングを行う育成会のチーム。ここから2選手が松山聖陵に進学した

 甲子園出場やよりよい指導、練習環境を求めて県外の高校に進学する「野球留学」は増加傾向にある。日本高校野球連盟の調査によると、2016年夏の地方大会でベンチ入りした選手のうち、県外中学の出身者は3873人で、06年と比べて2割増だった。

     なかでも近年急増しているのが、沖縄県からの野球留学だ。沖縄県以外の高校での沖縄県出身者のベンチ入りは、06年の14人から16年は54人まで増加した。野球人口の多い大阪府などから地方の高校へ野球留学するのがこれまでの傾向だったが、人口約140万人の沖縄が新たな供給源になっている。

     沖縄からの野球留学を説明する上で欠かせないのが「育成会」。中学の軟式野球部を夏に引退した3年生で地域ごとにチームを作り、10月ごろからは県内各地で大小の大会を毎週のように開く。野球関係者などの有志が06年に始めた当初の狙いは、地元の高校で野球を続けてもらうことだった。しかし今では、県外の指導者が隠れた逸材を探す場にもなっている。沖縄出身者が毎年入部する松山聖陵(愛媛)。自身も沖縄出身の荷川取(にかどり)秀明監督は「軟式の試合まで見に行けない。育成会の大会があるのは助かる」と強調する。

     中学生もまた、県外志向を強めている。今春のセンバツ8強の健大高崎(群馬)やセンバツに2年連続出場の滋賀学園では、沖縄県中部にある中学硬式の強豪・北谷ボーイズ出身者が活躍。外間達也代表によると、初めて選手が県外に出た13年は中3の26人中3人だったのが、今春は17人中8人まで増えた。次男を北陸地方の高校に進学させた父親は「関東、関西の大学にもパイプがあると聞く。親としては大学進学を考えないといけない」と甲子園出場以外の目的も明かす。

     南国の地に目を向けるのは、甲子園での実績が少ない私学が多い。5年連続で沖縄出身者が入部している岡山学芸館の山崎慶一監督は「地元に球速135キロを超える選手がいたが、結局は県外の強い私学に行った。沖縄にはあのクラスが何人もいる」と魅力を語る。中学生の野球人口が減る中、有望な選手の獲得競争が激しくなっている実情がある。

     10年に春夏連覇を達成した沖縄・興南の我喜屋優監督は「高校野球は地域密着。地元で育てるべきだ」と疑問を呈する。ただ、身体能力の高さに注目した県外の指導者と、高校から県外に出た方が将来的に有利と考える選手や保護者の思惑が一致している今、この流れは止まりそうにない。

     増える野球留学に高野連の竹中雅彦事務局長は「進学の自由があり、ダメとは言えない」とした上で、「『ベンチ入りがほぼ県外選手の学校が甲子園に出てきて魅力がなくなった』という電話や投書が最近、増えている」と話す。親元を離れて野球で勝負する15歳の覚悟と、高校野球人気を支えてきた郷土愛。高校野球は二律背反の課題に直面している。【安田光高】=つづく

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