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高校野球・新世紀

第3部 生き残り懸けて/6止 細る特待生、窮地の地方

「1学年5人以内」とする特待生制度を決め、会見する奥島孝康・日本高校野球連盟会長(左、肩書は当時)=小松雄介撮影

 「特待生」の存在は2007年、プロ野球・西武のアマチュア2選手への裏金供与に端を発し、問題化した。日本高校野球連盟は09年に「1学年5人以下」のガイドラインを設定。免除は入学金と授業料のみとし、12年に特待生制度として定めた。その後の社会状況の変化などもあり、制度は岐路を迎えている。

 高校進学を機に他県へ出る選手が多い大阪で、「地殻変動」が起きている。きっかけは、10年度に始まった大阪府による私学無償化。現在は年収590万円未満の世帯を対象に、授業料が無料となっており、私学に通う生徒約9万5000人の約5割が対象だ。金銭的な負担減を目当てに、他都道府県の学校に特待生として進学する必要性が低くなった。近畿の他府県の私学監督は「無償化が特待生の代わりになっている」と訴える。

 実際、日本高野連の調査では、大阪以外の夏の地方大会でベンチ入りした大阪の中学出身者数は減少傾向にある。08~12年の5年間は620~640人台だったが、11年度入学者が3年生になった13年は589人、14年も579人だった。

 さらに、来夏の第100回大会では大阪から2校出場となることも影響している。大阪大会は南北2地区に分かれるが、大阪桐蔭、履正社の2強はいずれも北に入る。南の私学は無償化と合わせ、「大阪から甲子園出場のチャンス」とアピールしている。他県の私学監督は「例年よりも大阪からの選手は半分に減った」と話す。

 大阪の中学生が他県に流れなくなっている状況は、地方の私学にとっては死活問題だという。東北のある私学監督は「いち学校ではなく地方の私立全体の問題」と強調。そして、思うように選手が集まらなかった学校が、ルール違反を犯すようになることを懸念する。大阪の私学関係者は「学費だけでなく、寮費などを含めて『年間5万円でいい』という地方の私学の話を聞いた」と明かす。

 一方、他校と競ってまで集めた特待生の入学後の扱いについて、疑問視する声もある。不登校や中退に悩む高校生を支えるNPO法人「高卒支援会」(東京都)の杉浦孝宣代表(57)は、野球の特待生がけがで退部し、その後退学した例などを挙げ、「選手を育てる気などなく、使い捨てのような学校もある」と批判する。

 日本高野連は来年、特待生制度の実態調査を行う。制度を守りながら、卒業までどのように健全に育成していくのか。教育機関である高校側のモラルが問われている。【安田光高、長田舞子】=第3部おわり

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