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第90回選抜高校野球

古豪・新顔、多彩な顔ぶれ 夢舞台の主役へ燃える(その2止)

センバツ出場が決まり喜ぶ由利工の選手たち=秋田県由利本荘市で2018年1月26日、宮武祐希撮影

 <2018 第90回記念センバツ高校野球>

     ◆21世紀枠

    勝利の校歌を 由利工

     ○…1962年創部の由利工が21世紀枠で春夏通じて初の甲子園出場を決めた。昨秋は東北大会初出場でベスト8に進んだ。チームの中心は最速142キロ右腕の佐藤亜。制球力もあり、秋の公式戦は10試合に登板し防御率2・05と安定していた。東北大会初戦の2回戦は粘り強さを発揮し、九回に3点を奪って逆転勝ちした。目標は「甲子園で勝利して校歌を歌う」。佐藤亜は「力強い直球でいい試合をしたい」と気合を入れた。

    エールを力に 伊万里

    21世紀枠での出場が決まり拳を突き上げて喜ぶ伊万里の野球部員=佐賀県伊万里市で2018年1月26日午後4時47分、田鍋公也撮影

     ○…初の甲子園切符を手にした伊万里の主将・犬塚は、チームを支える「大応援団」に勝利を誓った。

     佐賀県伊万里市では2013年度に「『目指せ!甲子園』プロジェクトチーム」を設立。地元の商議所や観光協会などとも連携しながら、街ぐるみで伊万里・有田地区の高校の甲子園出場をサポートしてきた。授業中に出場決定を校内放送で知らされた犬塚は「家族や学校以外にも自分たちには応援してくれる人がたくさんいる。その声を力に変えて、甲子園で勝利する姿を見せたい」。センバツの舞台で、初戦突破を誓った。

    悲願の1勝へ 膳所(ぜぜ)

    センバツ出場が決まり、喜ぶ膳所の選手たち=大津市で2018年1月26日午後3時39分、猪飼健史撮影

     ○…21世紀枠で1959年以来、59年ぶり4回目の出場を決めた膳所。大津市にある同校グラウンドでは、選手たちが帽子を一斉に投げ上げて喜んだ。

     滋賀県内屈指の県立進学校で、2017年度入試の京都大合格者数は66人と全国2位。野球部は開校と同じ1898年に創部し、甲子園出場は1934年の第11回選抜大会以来、春夏合わせて5回を数えるが、78年夏を最後に遠ざかり、未勝利のままだった。

     40年ぶりとなる甲子園では初勝利の期待もかかり、主将の石川は「難しいプレーをいかに簡単にするかを一人一人考えていけるのが強み。出るからには勝利を目指す」と意気込む。

    3校、独自の価値観

     21世紀枠には特色の異なる3校が並んだ。

     由利工は、マナーの悪さが指摘されていた学校の改革を野球部員が先導。あいさつの励行などを率先し、目標に掲げた「地域に愛される由工」を実現した。伊万里は少年野球の審判ボランティアを実施。伊万里市も社会人野球チームを招いて中学生向け野球教室を開催するなど、地域一帯で底辺拡大に取り組んでいる。

     特別選考委員は由利工について「野球部員が中心となって学校を元気にしている」、伊万里は「地域とどう関わるかが高校野球の課題となる中、自治体からも支援されている」と評価。球児の取り組みが周囲に及ぼす力のあることを実証した。

     膳所は、創意を凝らした取り組みが特徴だ。データ分析に専属で取り組む女子部員の存在は「野球は男子だけのものでないことを示し、目からうろこが落ちた」と、驚きすら持って受け止められた。

     特別選考委員会に先立つ推薦理由説明会も印象的だった。各道県の高野連理事長らのプレゼンテーションでは戦力に関する内容は少なく、地域との関わりや周囲への影響、学業との両立などに焦点を当てた。特別選考委員を務めるノンフィクション作家の佐山和夫さんは「これまでは戦力面の説明に時間を費やすケースがあったが、今回は圧倒的に少なかった。戦力とは異なる価値観で選ばれるべきだという趣旨が徹底されてうれしい」と話した。

     近年は被災地からの出場や少人数校が注目された。そのような際立った特徴はないものの、21世紀枠の趣旨を反映する選考となった。【野村和史】

    選考経過 学校改革の中心に/女子がデータ管理

     東日本(北海道、東北、関東・東京、東海、北信越)から選考を行い、由利工が選ばれた。統廃合が検討される中で、全校生徒の2割近くを占める野球部員が中心となって学校改革に取り組んだことが高い評価を得た。西日本(近畿、中国、四国、九州)からは伊万里を選出。少年野球大会の審判を部員がボランティアで行って野球の底辺拡大に取り組んでおり、地域の期待も大きい点などが共感を呼んだ。

     地区を問わない残り1校は激しい議論の末、膳所に決まった。文武両道を実践していることに加え、データ管理を担当する女子部員を置いていることが、女子生徒がマネジャーだけでない形で野球に関われることを示していると評価された。


    21世紀枠での出場校

    2001年 安積(福島)宜野座(沖縄)

      02年 鵡川(北海道)松江北(島根)

      03年 柏崎(新潟)隠岐(島根)

      04年 一関一(岩手)八幡浜(愛媛)

      05年 一迫商(宮城)高松(香川)

      06年 真岡工(栃木)金沢桜丘(石川)

      07年 都留(山梨)都城泉ケ丘(宮崎)

      08年 安房(千葉)成章(愛知)華陵(山口)

      09年 利府(宮城)彦根東(滋賀)大分上野丘(大分)

      10年 山形中央(山形)向陽(和歌山)川島(徳島)

      11年 大館鳳鳴(秋田)佐渡(新潟)城南(徳島)

      12年 女満別(北海道)石巻工(宮城)洲本(兵庫)

      13年 遠軽(北海道)いわき海星(福島)益田翔陽(島根)土佐(高知)

      14年 小山台(東京)海南(和歌山)大島(鹿児島)

      15年 豊橋工(愛知)桐蔭(和歌山)松山東(愛媛)

      16年 釜石(岩手)長田(兵庫)小豆島(香川)

      17年 不来方(岩手)多治見(岐阜)中村(高知)

      18年 由利工(秋田)膳所(滋賀)伊万里(佐賀)


    21世紀枠の選考基準

     勝敗にこだわらず多角的に出場校を選ぶセンバツ大会の特性を生かし、技能だけではなく高校野球の模範的な姿を実践している学校を以下の基準に沿って選ぶ。

     (1)秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟校が129校以上の都道府県はベスト32以上)が対象。(2)以下の推薦例のいずれかに当てはまる学校。少数部員、施設面のハンディ、自然災害など困難な環境の克服▽学業と部活動の両立▽近年の試合成績が良好ながら、強豪校に惜敗するなどして甲子園出場機会に恵まれていない▽創意工夫した練習で成果を上げている▽校内、地域での活動が他の生徒や他校、地域に好影響を与えている。

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