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未来への提言

センバツ90/4 複数投手、促す制度を 元五輪野球日本代表チームドクター・渡辺幹彦さん

 <第90回記念選抜高校野球>

    元五輪野球日本代表チームドクター・渡辺幹彦さん(57)

     医学やトレーニングが進歩しているにもかかわらず、肩や肘を痛める選手が減っていないというのが、野球に関わっている医者全体の認識だ。早ければ小学3、4年で肘の痛みが出て、ピークは5年から中学1年。肩の痛みは中学3年から高校1、2年に出てくる。

     野球は難しいスポーツ。反復練習をすれば必ずうまくなると考える指導者も選手も多いが、間違った方法で繰り返し練習すれば、肩や肘を痛めることが多い。小中学生は、頑張れば甲子園に行ける、我慢して練習すればプロへ行けると思っているが、肩肘を痛めたら上のレベルで通用しない。シドニーとアテネ五輪で日本代表のチームドクターを務めたが、大きなけがをした選手は代表には、ほぼいなかった。痛めていないのは、体の使い方が理解できているからだろう。それを教えないといけない。

     昔は石投げや物を打つなど「野球もどき」の遊びで、小さい頃から自然と体の使い方を覚えた。しかし、今は公園でボールを投げたり、バットを振ったりすることが禁止されている。小学生になっていきなり野球をするから負担がかかる。

     先日、指導者講習会の報告で、青森の高校生が小学生を教えていると聞いた。自分たちが教えることで技術の再確認など身につくことがたくさんある。こういう取り組みが全国で広がってほしい。その場合に大切なのは、この年代にはどう教えるかなど方法論やコンセプトを野球界全体で共有することだ。けが予防のためには子どもの時にいい指導者の下、いい環境で野球をするのが大事になる。

     高校野球では複数投手を擁するチームが勝てるようなルール作りができないだろうか。予選を勝ち上がる夏の甲子園と違い、センバツは招待大会。出場校を選考する際、複数投手のチームを優先してはどうだろうか。選手9人がいずれも投手ができ、1イニング1人ずつ投げるようなチームが出てこないか。強いだけでなく、100年先の高校野球を見据え、そこに挑戦するチームを選んでほしい。

     シドニー五輪の時、一発勝負の試合にワクワクする選手はまるで球児のようだった。高校野球は日本の野球の原点。郷土やいろんな人の思いを背負って戦ったり、チームワークをどう作るかを考えたりするなど、「生きる術(すべ)」のさまざまな原点がある。そこがなくなったら日本の野球は廃れてしまう。=つづく【聞き手・安田光高】


     ■人物略歴

    わたなべ・みきひこ

     1960年生まれ。香川医大卒。2000年シドニー、04年アテネの両五輪と13年ワールド・ベースボール・クラシックの日本代表チームドクターを務めた。15年から東京明日佳病院の院長を務める。

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