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センバツ・おかやま山陽 部を立て直した堤監督の指導哲学 野球の素晴らしさ広める /岡山

独特の指導哲学を持つおかやま山陽の堤尚彦監督=岡山県浅口市金光町の同校野球部練習場で、益川量平撮影

 <第90回記念選抜高校野球>

    異色の経歴 青年海外協力隊でジンバブエへ

     第90回記念選抜高校野球大会に出場中の「おかやま山陽」を指揮する堤尚彦監督(46)は、異色の経歴の持ち主だ。青年海外協力隊員や国内のスポーツマネジメント会社に勤めた後に監督に就任。同校野球部を立て直し、2季連続の甲子園に導いた。堤監督の野球道に迫った。【益川量平】

     堤監督は大学野球の強豪・東北福祉大卒業後、青年海外協力隊員としてアフリカ・ジンバブエで野球普及活動に取り組んだ。その後、ガーナやインドネシアで代表チームを指導し、国内のスポーツマネジメント会社で働いた。

     スポーツマネジメント会社時代に担当した女子プロゴルフの諸見里しのぶさんがおかやま山陽出身だったことが縁で、2006年に同校の要請を受け野球部監督に就任した。

     当時のチームは元監督の不祥事もあり、低迷。就任した直後の入部者は、わずか3人だった。練習するグラウンドには草が生い茂り、ネットは破れていた。そこでネットの修繕など、練習する環境を改善することから始めた。

     「10年でプロ野球選手を出し、甲子園に行き、100人のチームにして同時に練習できる環境にする」と目標を定め、野球に関する本を100冊以上読みあさった。練習試合では、他校の指導者と会話を重ね、チームを成長させる方法を模索した。それでも成績は思うように伸びなかった。「自分は何のために高校野球の監督になったのか」と考えるうちに、勝ちたいという気持ちはあったが、甲子園を目指すモチベーションが漠然としていることに気付いた。

     かつて取り組んだ野球の素晴らしさを世界へ伝える活動と甲子園を結びつけた。古くなった野球道具を海外に送る活動を11年に始めた。グラウンドでは、「なぜ野球が好きなのか」を伝えようと、これまでの経歴や経験をつづった手紙を選手たちの前で読み、自分自身をさらけ出した。「世界に野球の素晴らしさを伝えたい。その活動を知ってもらい、広めるために勝ちたい」

     チームの成績も14年の春の県大会でベスト4、16年の同大会で優勝、同年夏の岡山大会もベスト4と上向いた。地方大会では、直球の速い投手を打てなければ、速い球を打てるようにする。敗戦原因を繰り返し探ることを積み重ね、昨夏、同校初の甲子園出場をたぐりよせた。

     「下手な選手がうまくなった瞬間が一番うれしいんです」と笑う。昨夏の甲子園に導いた投手2本柱の大江海成さん(18)と小松章浩さん(18)の入学時の球速は110キロ台だった。粘り強く指導を重ね、140キロ台に成長。16年夏の岡山大会を制した。藤井皓哉投手のプロ野球広島入団や、指導を受けたOBたちから口コミで広がり、地元の有望選手も入部するようになった。部員の増加に従ってグラウンドを増設するなどし、100人近くの部員が練習できるようサブグラウンドを作るなど工夫している。

     「試合に出られなくても野球がうまくなれば満足してもらえる。入部した選手にとって良い3年間になってほしい」。指導を始めて13年目の今、そんな思いを込めて日々、部員たちと接している。

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