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高校野球・新世紀

第6部 制限される現場/3 重い経済的負担 遠征費増で「物品販売」

カタログを見ながら、物品販売の準備を進める高千穂の後援会メンバーたち=長宗拓弥撮影

 苦渋の決断を迫られている。岩手県沿岸部にある宮古商は今夏の練習試合を減らす方針だ。山崎明仁監督(38)は「貸し切りバスの値段が高く、厳しい」と苦悩する。大会出場や遠征に使うバスの料金が近年、チームに重くのしかかる。

 2012年の関越道で起きた高速ツアーバス事故を機に国は安全対策に着手し、14年に安易な低料金を認めない方針を打ち出した。山崎監督は「以前は1日6万円ほどで借りられたが、今は10万円弱はかかる」と明かす。

 宮古商は自校のグラウンドが手狭なため、練習試合はほぼ相手校へ出向く。土日曜日は保護者が運転するが、夏休み期間中の平日の練習試合は保護者に仕事があるため、バス会社に依頼。例年5~8試合あり、1回あたり2000円を部員から徴収してきた。だが、今夏に3年生16人が引退すると、部員数は13人に激減する。山崎監督は「1、2年生に試合経験を多く積ませたいが、少人数では借りられない。試合数を減らさざるを得ない」とため息をつく。

 増える遠征費を珍しい取り組みで工面しているのが高千穂(宮崎)だ。秋季九州大会に創部70年で初出場した16年度の支出は前年度150万円増の480万円に上ったが、後援会による「物品販売」の利益で賄った。県内の食品商社が学校の部活動やスポーツ少年団などに物品を格安で販売している事業を利用し、レトルトカレーなら600円で仕入れ、1000円で販売する。その差額を資金にする仕組みだ。

 この取り組みは約10年前から。山間部にある同校は県内の公式戦でも宿泊を伴うことが多いうえ、強化のため県外遠征を増やしたことに伴う遠征費増大が背景にあった。保護者の入る後援会の会員たちが食品を各職場などに持ち込み、協力を求める。10万円以上の利益を出す人もいるという。後援会長の甲斐睦さん(41)は「遠征などで必要な1人当たりの集金を抑えることができた」と説明する。

 それでも、保護者の経済的な負担は重い。部費月7000円▽練習後に飲むサプリメント月8000円▽所有するバスの燃料代や維持費に年1万円▽入部後のユニホームなど野球道具一式に10万円以上--。一方、学校からの補助は年間約10万円。戸高裕貴監督(33)は「補助だけではボール10ダースとバット2本分にしかならない」と嘆く。

 野球は金がかかり、強化に力を入れれば、それだけ経費も増える。その負担に耐えられなくなりつつあるチームや保護者も少なくない。【長宗拓弥、安田光高】=つづく

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