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夏の高校野球

小児がん克服し夢舞台に 折尾愛真・上地

【折尾愛真-日大三】打席に立ち、笑顔を見せる折尾愛真の上地龍聖選手=阪神甲子園球場で2018年8月10日、山田尚弘撮影

 ○日大三(西東京)16-3折尾愛真(北福岡)●(10日・阪神甲子園球場、1回戦)

     夏の甲子園大会第6日の10日、日大三(西東京)に敗れた折尾愛真(北福岡)の4番・上地龍聖選手(3年)は、幼い頃に小児がんと闘った。退院の日、病室で見た甲子園決勝が忘れられずに憧れ続けてきた舞台。初戦突破できなかったが「本当に楽しんでプレーできた」とすがすがしい表情をみせた。

     5歳の時、突然激しい腹痛に襲われた。腹部が大きく腫れていたが、深刻な病とは思わなかった。だが、小児がんだった。入院して抗がん剤治療を受けた。顔は腫れ上がり、髪の毛も抜けた。母佐代子さん(45)も病院に寝泊まりし、食事ができず嘔吐(おうと)を繰り返すわが子に寄り添った。

     抗がん剤が合い、約半年で退院を迎えた。退院の日、病室のテレビでは、早稲田実の斎藤佑樹投手と駒大苫小牧の田中将大投手が壮絶な投げ合いを見せていた。2006年の第88回夏の甲子園決勝。再試合の行方を見守るアルプス席は一球一球に沸き立ち、甲子園が憧れの舞台となった。

     しかし、退院しても3カ月ごとの経過観察が必要だった。小学校入学後すぐに野球は始められず、2年生になってやっと軟式野球チームに入った。折尾愛真では打って走れる選手を目指した。この夏の北福岡大会では五つの盗塁を決め、奥野博之監督(48)は「選球眼がよく、足でかき回すことができるキーマン」と評価する。

     10日の日大三戦では1打点を挙げたが、初勝利に導くことはできなかった。アルプス席で見守った佐代子さんは「中学を卒業する時に『甲子園に連れて行きます』と手紙をもらったが、本当になるなんて。元気で野球をできているだけでうれしい」と涙を浮かべた。

     上地選手は今も経過観察で年に1回通院している。「入院生活では親に迷惑をかけた。ここまで成長したぞという姿を見せられたかな」と口にし、夢舞台を後にした。【宗岡敬介】

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