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頂点見据え

19センバツ星稜/上 エース慢心なく成長 2番手争いチーム力高め /石川

星稜投手陣の柱、奥川恭伸投手。秋の公式戦では相手打線をほぼ完璧に封じた=東京都新宿区の明治神宮野球場で、岩壁峻撮影

 5カ月たっても、星稜・奥川恭伸投手(2年)のまぶたにはあの日の残像がこびりつく。延長十三回タイブレークの末に、逆転サヨナラ満塁本塁打を浴びた昨夏の甲子園2回戦。自身は先発したものの、酷暑で足がつり、四回で降板した。「野球の怖さは、星稜が一番知っている」。苦い記憶が、順調な成長ぶりを見せるエースに慢心を許さない。

     183センチ、82キロの恵まれた体格から投じる直球は150キロを計測するまでに。変化球の精度も高く、昨年11月の明治神宮大会では相手打者が「あんな曲がり幅があるスライダーを初めて見た」と舌を巻いた。マイペースに調整を続ける奥川投手の意志とは裏腹に、周囲の注目度は高まっている。

     1月6日。校内で行われた今年の初練習には昨季パ・リーグを制した西武のほか、ロッテ、楽天とプロ3球団のスカウトが「奥川詣で」にやって来た。「投手として総合力がある。大会を重ねるたびにスケールが大きくなっている」。1年の時から見守る楽天の山田潤スカウトが話せば、ロッテの小林敦スカウトも「早い段階で(1軍で)活躍してくれるイメージを持っている」と、早くもプロ入り後の姿に思いをはせた。

     「みんなスピードを期待していると思うんですけど……」。同世代の速球派投手に話題が及ぶと、奥川投手は時にやんわりとした口調で報道陣をけん制する。「球速を意識しているときは調子が悪いとき。球の質を意識していきたい」と、自らを律しているからだ。冷静さを保ちながら、試合のマウンドでも練習場でも笑顔。現状を楽しんでいるように見える。

     大黒柱の活躍に呼応して、他の投手陣も成長の跡を見せた。最大の収穫は、荻原吟哉投手(1年)だろう。引き分け再試合にもつれた北信越大会決勝では五回途中から登板して好投。明治神宮大会決勝は先発を託されるなど、昨夏の甲子園での選外から立ち直った。2番手を争う寺沢孝多投手(2年)とともに頭をもたげるのは「(奥川投手と)同じレベルに行かないと」「技術をどう吸収するか」という向上心だ。

     奥川投手頼みにならない気概が、チーム力を高めていく。【岩壁峻】

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     センバツ出場を決めた星稜の軌跡を追う。

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