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チャレンジ若鮎

米東・春への軌跡 第1部/1 先輩の悔し涙、胸に刻み 主戦、巻き返しへ研さん /鳥取

全国高野球選手権鳥取大会決勝で敗れ、準優勝の賞状を受け取る米子東ナインら=鳥取県米子市のどらドラパーク米子市民球場で、阿部絢美撮影

 <第91回選抜高校野球大会 センバツ>

     2017年7月、全国高校野球選手権鳥取大会。26年ぶりに決勝に進出した米子東の相手は同じ米子市のライバル、米子松蔭。1-5とリードされて迎えた九回表、長短打をつなぎ1点を返すも惜敗。あと一歩で夢の舞台に届かなかった米子東のベンチでは3年生メンバーたちの涙する声が響いた。

     中3だった長尾駿弥選手(1年)はスタンドから観戦していた。あきらめず戦い続けたナインの姿が強く印象に残った。「志望校を迷っていたけれどあの試合で決めた。ここに入部して出場に貢献したい」と誓った。当時1年生で唯一メンバー入りした森下祐樹投手(2年)は「試合前は『甲子園に出るんだろうな』という気持ちで、負けが信じられなかった。翌朝になり、やっと『本当に行けないんだな』と感じた」。

     夏の大会後、今の2年生が複数ベンチ入りした新チーム。いきなり試練が訪れた。引退する加藤碩男(せきお)さん(19)=現・同志社大野球部=からは「絶対に自分たちのような悔しい思いはするな」と言葉を送られた。が、シードで臨んだ秋季県高校野球大会は強豪・鳥取商に、同じく翌18年の夏の鳥取大会では再び米子松蔭にいずれも初戦で敗れ全国への道ははるかかなたへ遠ざかった。

     そして再び捲土(けんど)重来を期した現在のチームの道のりは、一歩目からつまずくことになる。

     初戦は鳥取大会後すぐ。川棚(長崎)を米子に迎えた練習試合。夏の長崎大会では2回戦進出とそう強敵ではない相手。2-2の同点で迎えた五回にマウンドに立った主戦の森下投手が、4長短打を浴びて2点を献上した。ボール球を先行させて状況を悪くし、投げ急いで真ん中に投じた棒球で失点する悪循環。チームも3-6で敗れた。

     「今の投球じゃ周りから信頼される、本当のエースにはなれないぞ」。試合後にうなだれる森下投手に紙本庸由(のぶゆき)監督は語りかけた。1年の秋から背番号1を背負う大黒柱が、今一つ実力を出し切れていない。厳しい言葉は期待の裏返しだった。森下投手の脳裏に、前年夏の鳥取大会で先輩たちが涙を流した場面が浮かんだ。「あのときのような悔しさを仲間に味わわせたくない」。夜遅くまで研さんに励み、持ち前の変化球と制球力を磨いた。

     チームは秋の県大会が始まる9月まで練習試合で14勝2敗と順調に結果を出し続けたが、予想もしなかったピンチが訪れることになる。

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     3月23日に開幕する第91回選抜高校野球大会への米子東の出場が決まった。伝統のユニホームのデザインは、清流に躍る若鮎(わかあゆ)をイメージしている。登録選手わずか16人で勝ち取ったセンバツ決定までの軌跡を追った。=つづく

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