メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

新生の一歩

智弁和歌山/中 小技絡め戦術緻密に 「ケースバッティング」で実戦を意識 /和歌山

南部との和歌山県2次予選準決勝。七回裏智弁和歌山無死、一、三塁、綾原のスクイズで三塁から久保が還り同点=和歌山市の県営紀三井寺球場で2018年10月7日、砂押健太撮影

 <第91回選抜高校野球大会 センバツ>

     高嶋仁名誉監督(72)の後を継いだ中谷仁監督(39)の下、チームには新たな変化が生まれつつある。パワーだけを前面に押し出すことは抑え、時々の試合展開に柔軟に対応できるしなやかさも身につけようと模索している。

     そのベースにある練習の一つが「ケースバッティング」だ。1死二、三塁など好機をイメージしてどのような打撃をすれば確実に得点できるかや、犠打の成功率を100%に近づけるためどこに打球を転がせばいいかなど、試合の具体的な場面を強く意識して臨んでいる。智弁の強打を培ったバッティングマシンでの練習はこれまでなら1日約2時間続けることもあったが、半分程度の時間に抑え、量から質に転化した。

     守備練習でも、相手の奇策に対応できるよう、スクイズやバスター、ヒットエンドランなどさまざまな攻撃を想定。また、選手が課題だと感じていることについて重点的に取り組めるよう、練習は生徒の自主性に任せることも多くなった。

     こうした変化は結果にも現れ始めている。秋季近畿大会につながる昨年10月の南部との県2次予選準決勝。双子のバッテリーを中心に「力のあるチーム」(中谷監督)で、約1カ月前の新人戦では0-2で敗れていた。

     試合は智弁和歌山が一回に2点を先取、先発・池田泰騎投手(1年)も順調な立ち上がりを見せた。しかし、五回に1点を返されると、六回には2ランを浴び2-3と逆転された。ただ新人戦とは違い、この日は落ち着いていた。

     七回、安打と敵失で得た無死一、三塁の好機に9番・綾原創太選手(1年)を打席に迎えた。これまでなら適時打を狙いにいく場面にも思われたが、中谷監督のサインは「スクイズ」。綾原選手は4球目を相手投手の前にうまく転がして手堅く同点とした。三塁走者・久保亮弥選手(2年)の好スタートもスクイズ成功につながった。これで攻撃に勢いが生まれ、後続の3連打でさらに2点を追加。続く八回は持ち前の打撃力で6長短打を集めて突き放し、10-3で前回の借りを返した。

     昨季のチームはプロ野球・広島に入団した林晃汰選手(18)をはじめ強打者ぞろいだった。今季はそこまでの爆発力は期待できず、中谷監督は「打線の上位も下位も小技を交えてつなぐ野球をしないと勝てない」と語る。

     監督の意図はチームに浸透しつつあり、綾原選手は「新チームになってから長打を狙うのではなく、泥臭い野球をやっている」と違いを感じている。中谷監督も「時々の場面で何をしなければならないか、選手たちも自分の役割が分かってきた」と手応えを話す。

     高嶋野球をベースにしつつ、戦術面で緻密さも加え、チームは新たなスタイルを築こうとしている。【砂押健太】

    毎日新聞のアカウント

    4月3日の試合

    話題の記事

    関連サイト