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雑草魂

’19センバツ習志野 第1部・軌跡/下 ダブルキャプテン制 補い合い、けん引 「名に恥じないプレーを」 /千葉

関東大会準々決勝で東海大甲府に勝ち、4強を決めて喜ぶ習志野の選手たち=甲府市の山日YBS球場で2018年10月23日、秋丸生帆撮影

 <第91回選抜高校野球>

     昨年10月7日、県大会決勝で中央学院に敗れた習志野。専用グラウンドに戻りミーティングを終えた夕方、根本翔吾主将(2年)は小林徹監督(56)に会議室に来るよう呼ばれた。「竹縄(俊希選手・2年)に主将をやってもらおうと思う。竹縄も了解している」。そう突然告げられた。

     習志野の県大会の総得点は27点。4強のうち残り3校は40点以上を得点している。複数の公式大会で打率4割以上を記録していた根本主将だが、昨秋の県大会は3割前半。「成績不振で主将交代を命じられた」と、悔しさを感じながら申し出を受けた。

     ところが、小林監督の口から思わぬ言葉が出た。「お前を主将から降ろそうとは思わない」。根本主将と竹縄新主将の2人による「ダブルキャプテン」制が始まった。

       ◇  ◇

     昨夏の大会まで1番・中堅手の根本主将は秋から打順が3番になった。「チャンスで回ってくることが多く、主将としての責任から力んで、振らなくてもいい低めの球に手を出していた」と自身で分析する。

     竹縄主将は、根本主将が試合中に顔をこわ張らせながら声を出す様子に気づいていた。自身の打順は1、2番。出塁後の塁上から根本主将の打撃の不調を目の当たりにしていた。「主将という立場に気負いすぎていると感じた。根本の負担を和らげれば、チームはもっと良くなると思った」

     2人は小林監督から2人の主将制を告げられた後、すぐにチーム運営について話した。「お互いに足りない部分がある。補い合ってチームを支えていこう」。2人の主将で甲子園に行くことを誓った。

       ◇  ◇

     「いくぞー」。10月21日午前5時、甲府市内の高校のグラウンドで、竹縄、根本両主将が先頭で声を張り上げて、ウオーミングアップを始めた。メンバー表には竹縄主将が「主将」と表記され、試合前の先攻後攻を決めるじゃんけんも竹縄主将が担当するようになった。

     午前9時、桐生第一との関東大会1回戦が始まった。1点を追う三回、竹縄主将が右前打で出塁。その後、根本主将が3球目を中前に力強くはじき返し、竹縄主将がヘッドスライディングで本塁に帰還した。竹縄主将は「やっと、根本らしいプレーをしてくれた」と喜んだ。

     試合は1-1のまま延長へ。タイブレークの延長十三回、根本主将が中飛で、三塁から本塁を狙う走者を好返球で刺してピンチを救う。直後の十四回に角田勇斗選手(1年)が左越え2点適時打二塁打を放って勝ち越し。六回から登板した主戦・飯塚脩人投手(2年)が被安打4、8奪三振の好投で締めくくった。根本主将は「竹縄がいることで県大会より試合に集中できるようになった」と振り返る。

     準々決勝の東海大甲府戦では、いずれも1年の桜井亨佑、高橋雅也両選手が2人で5安打5打点を挙げた。初登板した岩沢知幸投手(2年)の活躍もあり、8-4で快勝。4強に進出し、センバツ出場に近づいた。

       ◇  ◇

     1月上旬、夜間照明に照らされる夜のグラウンドで、板橋洋部長(50)がトレーニングに励む選手を眺めながらつぶやいた。「スター選手もおらず、小柄な選手が多い。新チーム発足当初は選手たちも関東大会4強まで進むとは思っていなかったはず。周りも期待していなかったでしょう」

     一呼吸置いて板橋部長は目を細めて続けた。「だからこそ、彼らが甲子園に行ければ、後々の後輩に言ってあげられると思うんですよ。『こんなチームでも行けたんだよ』と」。1月25日、10年ぶりのセンバツ出場が決まり、学校や地域に喜びが広がった。記念撮影後の記者会見で両主将は同じ言葉を口にした。「憧れの舞台で習志野の名に恥ないプレーをしたい」(この連載は秋丸生帆が担当しました)

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