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春疾風

2019センバツ 桐蔭学園/中 競い進化「五枚看板」 /神奈川

桐蔭学園の(左から)長谷川、鈴木、山崎、伊礼、渡部の5投手。互いに切磋琢磨しながらエースの座を目指している=横浜市青葉区の同校野球場で、洪玟香撮影

 <第91回選抜高校野球>

     「このチームには完投できるピッチャーがいない。だから、5人で1人の投手だ。初回から恐れず全力で投げろ。どの投手もいつでもマウンドに立てるように準備しろ」。昨年8月の新チーム発足時、片桐健一監督が投手陣にかけた言葉だ。どんな場面でどの投手がマウンドに上がっても同じ結果になるように。投手たちはそう受け止めた。

     「5人」とは、いずれも2年生の伊礼海斗、長谷川颯、山崎駿、渡部慎之介、鈴木啓悟の5投手のこと。昨年10月の関東地区大会初戦では、先発の背番号11の左腕、伊礼投手が4失点で降板すると、リリーフした山崎投手が好投。苦境をしのいだチームは九回裏、劇的なサヨナラ逆転勝利を収めた。

     勢いに乗ったチームが優勝へと駆け上がる中、めざましい成長を見せた投手がいた。伊礼投手だった。準々決勝、準決勝でも先発すると、打たせて取る投球がさえ、2試合連続で完投勝利した。

     片桐監督は「試合を重ねていくうちに成長した。楽しそうに投げている彼の邪魔をしてはいけないと思った」と目を細める。続く明治神宮大会でエースナンバーの背番号1を託された伊礼投手は「関東大会までは5人で1人のピッチャーという意識が強かったが、背番号だけで表すなら、自分に求められるハードルが変わってきた」と話す。

     一方、関東地区大会で背番号1だった長谷川投手は、決勝にリリーフ登板し勝利に貢献したものの、「先発を任せてもらえるほどの信頼を勝ち取れなかった」と振り返る。大会後、背番号を譲る形になったが「上がいるんだと思って頑張るだけ」と、悔しさをバネに冬場の練習に打ち込んだ。片桐監督も太鼓判を押すストレートの球速を磨き、苦手な変化球を克服している。

     伊礼投手から刺激を受けたのは長谷川投手だけではない。「自分と球速も変わらない中で、あれだけ抑えられるのはすごい。それでも負けられない」。関東地区大会で登板のなかった左腕、鈴木投手は競争心を隠さない。渡部投手は「監督は一人一人が一本柱になってほしいはず」と考える。投手陣のリーダー役を担う山崎投手は「伊礼だけで甲子園に行けたわけではない。彼がいなくても終盤まで投げられる投手がいなくてはならない。全員が完投できる五枚看板を目指したい」と気を引き締める。

     チーム発足当時には5人で協力しなければ勝てないと言われていた投手陣。秋の公式戦を戦い抜き、それぞれにチームを背負う意識が芽生えた。「5人で1人」から「五枚看板」へ--。桐蔭学園の5人はセンバツを見据え、新たな目標に向かって走り始めている。【洪〓香】

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