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第91回選抜高校野球

心一つ、星稜新時代へ OB真弓さん揮毫 練習場に書、後輩見守る /石川

星稜の林和成監督のリクエストで真弓将さんが手がけた「心温かきは万能なり」の書=金沢市の高同校で、岩壁峻撮影

 <センバツ2019>

     第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場する星稜の室内練習場には、芸術的な書体でしたためられた「格言」が四方に掲げられている。手がけたのは、野球部OBの真弓将さん(20)=京都学園大2年。このほど新チームのスローガン「一味同心(いちみどうしん)」を揮毫(きごう)し、毎日新聞に寄せてくれた。後輩たちに「新しい時代を作る星稜野球を見せてほしい」とエールを送る。

     真弓さんは福井市立明倫中から星稜に進学。2年で投手から外野手に転向し、3年だった2016年夏の甲子園では背番号15を付けてメンバー入りを果たした。一方で先輩の誕生日に特製メッセージカードを送るなど、国語教諭だった母の勧めで始めた書道の腕前は部内で評判だった。室内練習場の格言は以前からあったが、17年春の真弓さんの卒業を機に林和成監督(43)が「全部新しく書いてくれないか」と依頼した。

     正式に書道を習っていたのは小学校の2年間だけだが、字を書くのはずっと好きだったという。メッセージカードは筆ペンで書いていたため、本格的に筆を手にするのは約10年ぶりだった。「不安は消えなかったが、気づいたら書き終えていた」。時には寮にこもり、1カ月ほどかけて約20枚を仕上げた。

     山下智茂名誉監督の指導時代からある「耐えて勝つ」に加え、林監督が新たにリクエストしたのは「心温かきは万能なり」。さらに、真弓さんは「林先生の好きな言葉というのは知っていた」と、「乾坤一擲(けんこんいってき)」(運命をかけた大勝負をすること)も贈った。「この字に見守られ、勇気づけられている。字に沿った練習をしなければいけませんね」。林監督は慈しむように、教え子の作品を見つめる。

     新チームが掲げる「一味同心」は、同じ目標に向かって全員の心を一つにするという意味だ。見据えるのは全国制覇。真弓さんは「周囲は騒がしくなるかもしれないけど、おごることなく野球をしてほしい」。力強い字体には、自分を見失うなというメッセージもにじむ。

     「彼にしかできないことがある」と話す林監督は、真弓さんの揺れる心情を察していたのだろうか。大学で硬式野球を続けながら、林監督と同じ社会科の教員免許取得に励む真弓さんは「書道アーティストとして活動できないか」と将来を模索。インスタグラムで定期的に作品を投稿している。自分の書で周囲が喜んでくれた経験が忘れられず、「誰かの心に刺さるような作品を生み出していきたい」。夢の原点は、星稜野球部にあった。【岩壁峻】

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     毎日新聞石川面では、真弓さんの「一味同心」をタイトルに、センバツに臨む星稜を追った企画記事を随時掲載します。

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