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吹奏楽部ストーリー

’19センバツ習志野 第2部/上 応援曲「レッツゴー習志野」誕生 習高らしさ、青春の曲 /千葉

 <第91回選抜高校野球>

    「長く愛されるとは」

     「このメロディー良いな」。1975年夏、当時習志野高校2年で吹奏楽部長だった根津嘉弘さん(60)=船橋市三山=が4畳半の自室でギターを響かせながらつぶやいた。野球部の応援曲の作曲に没頭していた。ノリの良いラテン系の曲が好みで、弾むように校名を叫ぶサビ部分のフレーズが自然と浮かんだ。数日で16小節の短い曲が完成した。習志野の応援を代表する曲「レッツゴー習志野」の誕生だ。

     中学でトランペットを始めた根津さん。67年夏に甲子園を制した習志野に憧れ、「野球応援がしたい」と同校に進んだ。当時の吹奏楽部員は約30人。応援曲は六大学野球のコピーばかりだった。小川淳司投手(現ヤクルトスワローズ監督)を擁する野球部は75年のセンバツに出場。夏の期待も高まり、校内に応援ムードが漂っていた。

     夏の県大会中のある日、顧問から「新しい応援曲を作ってくれ」と頼まれた。注文は三つ。(1)「ドン、ドン、ドドドン、ドドドドン」という野球部員が攻守交代で鳴らす太鼓のリズムを入れる(2)「習志野」という掛け声を使う(3)高校生らしく元気の出る曲--。サビはすぐに浮かび、太鼓のリズムを使ったイントロに悩んだが、自信のある一曲が仕上がった。

     完成から間もなく、校内で吹奏楽部、応援部を前にトランペットで披露した。無事に採用されたが、後輩に「福島県の常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)の曲みたいだ」とひやかされた。根津さんは「部内では『常磐ハワイアンセンター』って呼ばれ続けてね。悔しかった」と苦笑する。

     この夏、習志野は県大会を突破し、甲子園出場を決める。甲子園では小川投手が5試合を完投し、8年ぶり2度目の優勝を果たした。野球部の活躍の一方で新曲の評判は今ひとつ。根津さんは「部員も、アルプスの観客も特に意識していなかったと思う」と振り返る。

     高校3年の夏に顧問が代わり、コンクールが部の目標に。野球応援が目的の根津さんは吹奏楽部を退部した。卒業後は長距離トラックの運転手になり、音楽から距離を置いた。仕事に追われ、母校の応援からも遠ざかっていた80年夏、配送でトラックを運転中にラジオから「レッツゴー習志野」が響いた。

     山間を走り、電波は途切れがち。雑音もひどいが、「習志野」の掛け声がはっきりと耳に入った。作曲から5年が経過した青春の曲だ。根津さんは「うれしかった。ラジオで全国に流れているとは思わなかった」と鮮明に思い出す。劣勢が続く東北(宮城)との2回戦だった。眠くなっていた目も覚めた。自作の曲が流れると、峠道で踏み込むアクセルはグッと力強くなった。「応援している人間はここにもいるぞ」。心の中で叫んでいた。

     根津さんの音楽に対する熱はよみがえり、習志野市内のバンドに所属し、再びトランペットを握った。時折、母校の応援にも足を運び、2011年夏にはアルプススタンドで現役の吹奏楽部と一緒にレッツゴー習志野を演奏した。知人から「レッツゴーおじさん」と呼ばれることもあるが、恥ずかしさから作曲時に譜面には「習高有志」とだけ記した。「思いつきで作った曲なので、現在まで長く愛される曲になるとは思っていなかった」と目を細める。

     根津さんは「高校時代の野球応援は唇が切れて音が出なくても吹いていた。音楽的には良くないだろうけど、それが僕らの『習高らしさ』だった。センバツでは、野球部も吹奏楽部も習高生らしく、元気に活躍してほしい」と期待している。


     ■レッツゴー習志野

     習志野のオリジナル応援曲。同校の応援の代名詞になり、高校野球ファンだけでなく幅広い支持を集める。野球応援ではチャンス時のテーマ曲だ。インターネットの動画投稿サイトでは市公式アカウントが吹奏楽部の演奏動画を公開。2000安打を達成した野球部OBでプロ野球千葉ロッテマリーンズの福浦和也選手の打席で演奏されることもある。

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