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吹奏楽部ストーリー

’19センバツ習志野 第2部/中 総勢205人の全国級 圧倒の音色、美爆音 /千葉

 <第91回選抜高校野球>

    応援と「本業」が相乗効果

     2001年8月10日、14年ぶりに夏の甲子園に出場した習志野は尽誠学園(香川)との1回戦に臨んだ。両者無得点で迎えた五回1死二塁、当時の主将、梶岡千晃さん(35)=NTT東日本コーチ=が打席に立った。137人。習志野吹奏楽部の全員による演奏が響いた。その音量は「応援される自分が圧倒されるほどだった」。二ゴロが運よく外野に抜けて先制適時打に。流れに乗り、試合を制した習志野はこの夏、3回戦まで進んだ。梶岡さんは「吹奏楽部の応援が力になった」と思い出す。

    応援練習中の習志野吹奏楽部=習志野市の習志野高校で

     1962年創部の吹奏楽部は、部員数が200人を超える全国レベルの強豪だ。部員はコンクール、マーチングなど大会ごとにチームが分かれ、部員全員で同じ曲を演奏することは少ない。大会を目指すチームの部員は、野球応援に参加しないのがかつての慣例だった。

     「コンクールメンバーだからって野球応援から外さないでください」。顧問の石津谷治法(はるのり)教諭(60)は01年夏、吹奏楽部員から懇願された。野球部が甲子園に向けて県大会を勝ち進む時期だった。石津谷教諭は高校時代、吹奏楽部で野球応援の魅力を知った。「コンクールの練習だけでは得られないことがある」と考えた。この夏まで18年連続の全国コンクール出場をかけた大会を9月に控えていたが、成績の低下を心配することはなかった。

     全部員での応援は尽誠学園との1回戦からだった。部員137人は前夜、貸し切りバス5台で阪神甲子園球場がある兵庫県西宮市に向かった。消灯前の車内で「ついに甲子園だ」とささやく部員たちの声が聞こえた。半日以上もバスに揺られ、疲れた様子の部員たちだが、アルプススタンドに並ぶと表情が変わった。

    吹奏楽部顧問の石津谷治法教諭=習志野市の習志野高校で

     全員が一斉に音色を響かせた時、石津谷教諭は「気持ちの入った良い音だ」と感じた。その音はグラウンドの選手にも届いていた。梶岡さんは「予選とはボリュームが桁違い。なのにピタリとそろった奇麗な音だった」と今でもその音を思い出せる。

     大音量になった習志野の応援は野球に限らず、全国レベルのサッカー部、バレー部の応援などを通じ、全国的に知名度を上げていった。一方で、その応援について「うるさい」「騒音だ」と学校に苦情電話がかかることもあったという。

     08年秋の関東大会のスタンドで、石津谷教諭は楽器を構える部員にいつものように「爆音だー!」と呼びかけた。すると副顧問の瀧山智宏教諭(47)が「爆音と言っていると、また『うるさい』と冷やかされる。うちは全国コンクールに行ける奇麗な音を出している」と指摘した。2人で話し合い、「美しい爆音」と呼ぶことが決まり、年1回の定期演奏会などで応援曲を披露する際も「美しい爆音」と紹介するようになった。気づけば、習志野の応援は「美爆音(びばくおん)」という言葉で語られるようになっていた。

     全員応援の伝統が始まってからもコンクールの成績を落とすことはなかった。石津谷教諭は「応援で仲間のためとか、自分の思いを伝えるための演奏を重ねた方が、コンクールやコンサートで、人を楽しませたり、喜びを感じながら演奏したりできるようになる。甲子園では最後まで全員で全力で応援しますよ」と熱く語った。


     ■習志野高校吹奏楽部

     1962年の創部以来、全日本吹奏楽コンクール金賞23回、全日本マーチングコンテスト金賞14回、全日本アンサンブルコンテスト金賞5回。部員数は205人で、全国屈指の名門吹奏楽部。応援曲のレパートリーは約30曲で、1975年に作曲されたオリジナル曲「レッツゴー習志野」は同校の野球応援の代名詞となっている。

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