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32番目の心意気

’19熊本西/1 21世紀枠 「普通の球児」甲子園へ /熊本

21世紀枠での出場が決まり、帽子を投げて喜ぶ熊本西の選手たち

 <第91回選抜高校野球>

     「うちは出場32校の中で32番目の実力。でも泥臭い野球で公立高校の星になりたいんです」。21世紀枠での選抜出場が決まった1月25日、熊本西の横手文彦監督(43)はそう語った。

     過去に宜野座(沖縄、2001年)や利府(宮城、09年)が4強入りした例があるとはいえ、「困難な環境の克服」や「学業との両立」「部外を含めた活動」といった要素に重きが置かれる21世紀枠での選出校は、一般選考の29校に比べて戦力的にどうしても低くみられがちだ。

     その21世紀枠においてさえ、東日本の石岡一(茨城)、西日本の富岡西(徳島)に続く最後の3枠目で選ばれた熊本西はまさに「32番目の高校」といえた。しかし、32番目には32番目なりの心意気がある。

     「21世紀枠での選出を受ける覚悟はあるか」。横手監督は昨年11月、選手たちにそう問いかけたことがある。熊本西は初出場だった10月の九州大会で8強入りして21世紀枠の熊本県推薦校に選ばれた直後、練習試合で頭部に死球を受けた2年生部員を亡くしていた。

     ショックでカウンセリングを受ける選手がいた。恐怖心から速球に対して踏み込めず、本格的な打撃練習を再開できない選手もいた。それでも霜上幸太郎主将(2年)らは横手監督に答えた。「今いるステージを降りたくありません。練習でも学校生活でも野球部が他の生徒の模範になれるよう頑張ります」

     今日、甲子園を目指す強豪校の選手の多くがボーイズリーグやリトルリーグといった硬式野球クラブの出身で、小学、中学時代から高いレベルの指導を受けている。一方、熊本西の選手39人は全て中学の軟式野球部出身。専用グラウンドもなく、練習するのは他の運動部と共用の田畑に囲まれた校庭だ。

     そんな「普通の高校の球児」たちは「勝利をつかめるかどうか、最後は練習の時間以外の生活で決まる」と教える横手監督の下、学校周辺のごみ拾いなどにも精を出してきた。

     それでも現在の2年生が1年生だった2017年と昨年の夏、熊本西は2年続けて熊本大会の初戦で敗退。新チームに移行した昨年7月、霜上主将らはその理由を考えた。「先輩たちの良かったところは受け継ぎ、改めるべきは改めよう」

     その結果、それまで下級生の仕事だった道具の片付けなどを学年に関係なくみんなでやることにした。運動部特有の上下関係をなくし、チームに一体感をもたらすためだった。迎えた秋、熊本西はノーシードから強豪の熊本工などに打ち勝って準優勝。九州大会でも1勝して初めての「ステージ」にたどり着いた。【清水晃平】

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