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一味同心

19センバツ星稜 第3部・チームの支え/3 心身両面 ほぐし20年 /石川

星陵の選手たちの体調を支える田中良和さん。後輩の健康を何より願っている=金沢市小金町の二葉鍼灸療院で、岩壁峻撮影

 <第91回選抜高校野球>

    母校近く、全力で治療 トレーナー・田中良和さん(49)

     一冬を越えようとする星稜の選手たちの体は、たくましさを増した。尻回りを始め下半身にどれくらいの筋肉がついたか、姿勢に変な癖はないか--。練習場に足を運び、わずかなほころびも見逃さないのがチームOBでトレーナーを務める田中良和さん(49)=二葉鍼灸療院(金沢市)院長=の仕事だ。

     高校時代は捕手。「公式戦の出場はなくて……」と苦笑交じりに3年間を振り返る。同学年には、後にダイエー(当時)などで通算54勝を挙げた村田勝喜さんがいた。「下級生にもいい選手が多かった。『じゃあ、自分には何ができるか』と考えた結果、ブルペン捕手になりました」。直球も変化球もキレが別格だった村田さんの球を受けてきたことは誇りになっている。

     練習中のけがも多かったというが、同学年の部員の父親で、しんきゅう院を営む川本力雄さんとの出会いが将来の道を開いた。治療を受けているうちに「こういう仕事ができたら」という思いが頭をもたげ、2年の終わりごろには進路に定めた。川本さんの紹介もあり、高校卒業後は愛知県内のはり治療院で修業しながら専門学校に入学。はり、きゅうに加え、あん摩マッサージ指圧師の免許を取得した。

     1998年、30歳を前に地元に戻り、二葉鍼灸療院を開業した。母校から約2キロ。「星稜からできるだけ近いところで場所を探した」という。川本さんを手伝う形で、ほぼ同時期に後輩たちの治療も行うようになる。「開業したてだったので、『大丈夫かなあ』とは思ったけど、野球に関われるご縁があるのはありがたいなと」。喜びの方が勝っていた。

     球児をケアするようになって20年が過ぎた。以前と比較しても、選手の体調管理を巡る環境は改善してきたと感じる。それにつれて、自身の意識も変化してきたという。「僕はどちらかというと、選手の治療を行うトレーナー。ただ、やっぱりけがの予防は大切。その助言ができるように体を把握しなければと思っています」。投手の肘、肩のチェックはより念入りに行うようになった。

     表面的な体の張りであれば指圧、体の深部に疲労を感じればはりと治療を使い分ける一方で、選手の心をほぐすことも大事な役割だ。甲子園にも同行し、宿舎にマッサージ室を特設。「アイドルは誰が好き?」などと他愛もない話をしながら、大会期間中の張り詰めた緊張感から、つかの間選手を解き放つ。

     後輩たちはセンバツの優勝候補筆頭と言われて久しい。自分たちが果たせなかった全国制覇に期待する気持ちもあるが、「僕は全力で治療するだけ。その感覚は昔と変わりません」。無事を願い、試合後に笑顔で選手と語り合うことを心待ちにしている。【岩壁峻】

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