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一味同心

19センバツ星稜 第5部・「伝説」からのメッセージ/下 山本省吾さん 目前の相手に全力で /石川

1995年センバツ1回戦。星稜の2年生エースだった山本省吾さんは、強力打線の三重を完封した=阪神甲子園球場で1995年3月28日

 <第91回選抜高校野球>

    優勝旗見えてからが真の闘い 山本省吾さん(40)1994~96年度在籍

     松井秀喜さん(元巨人、ヤンキースなど)を擁した1992年に次いで、星稜がセンバツで8強入りを果たしたのは95年だった。新2年生の春に背番号1を付けた山本省吾さん(40)=現ソフトバンクスカウト=は「投げながら自分が『うまくなっている』と感じた」と手応えを得るとともに、「思い通りに行かない苦しみもありましたね」。相反する感情を味わった7日間だった。

     同年1月17日の阪神大震災の直後に開かれた大会。「甲子園でプレーしたいが、被災されて大変な思いをされている方がいる」。整理できない思いを抱えた山本さんらに、山下智茂監督(現名誉監督)は神戸の中心街・三宮の現状を目に焼き付けるよう伝えた。「金沢にいる時よりも(被災状況が)現実味を持って感じられた」と山本さん。「復興」の名の下でプレーする重みがあった。

     応援団の鳴り物は禁止されたが、活躍する選手にはスタンドから拍手が送られた。「お客さんが温かかった」という甲子園の雰囲気に背中を押され、山本さんは三重との1回戦で6安打完封勝利を挙げた。前年夏の甲子園でも登板したが、聖地での先発は初めて。「終わってみたらゼロが重なっていた」と振り返るものの、制球力に物を言わせ、出場校中トップのチーム打率(4割3分6厘)を誇る相手打線に的を絞らせなかった。

     手にした自信は、伊都(和歌山)との2回戦以降で揺らぐことになる。6-4での辛勝。初戦に続き完投したが、決め球のカーブがさえず、「何とかマウンドを守っていた」。そして観音寺中央(香川)との準々決勝。一回に2点を失い、「簡単に行く相手じゃないな」。結果的にセンバツ初出場初優勝を成し遂げる新鋭の勢いに抗することができず、4-6で敗れた。

     「優勝旗が見えかけてくるところから、真の闘いが始まる」。苦さの中にも、タフな展開を体感できたことは実になった。福留孝介選手(現阪神)らがいた全日本高校選抜に1年から名を連ねた非凡の才は、「注目されるには全然力が足りない」という焦燥感を推進力にした。その夏の甲子園準優勝につながったことは言うまでもない。

          ◇

    星稜時代を振り返る山本省吾さん。現在はソフトバンクのスカウトとして、故郷の有望株発掘に奔走している=金沢市で、岩壁峻撮影

     慶大を経て、プロ4球団に在籍。35歳まで現役を続け、計40勝した。現在は、スカウトとして故郷の北陸地区を担当する。「力があれば、挑戦しがいがある世界。夢を持ってトライしてくれるなら、お手伝いしたい」と各地を駆け回る。

     センバツに臨む後輩たちには、「目の前の相手に全力でぶつかってほしい」。とは言いながらも、「初の優勝を目指して突き進んでくれれば」と素直に願うのは、プロの目でその実力を見極めているからだ。「16~18歳で野球をしている選手たちが本当にうらやましい」。そう笑って、球児たちを見守る。【岩壁峻】

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