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第91回選抜高校野球

光星、強打生かせず 好守で接戦あと一歩 /青森

広陵に敗れ、ベンチ前に整列する八戸学院光星の選手たち=阪神甲子園球場で、徳野仁子撮影
【八戸学院光星-広陵】七回表八戸学院光星1死、近藤が左前打を放つ=阪神甲子園球場で、山田尚弘撮影

 <2019 第91回センバツ高校野球>

     第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第4日の26日、八戸学院光星は広陵(広島)と対戦し、0-2で惜敗した。エースの後藤丈海投手が粘投し、併殺3の好守でピンチを何度も切り抜けたが、広陵のエース河野佳投手の速球や変化球に持ち味の強力打線が対応できず、散発3安打と抑えられた。ただ、試合後にアルプス席に向かって一礼した選手たちには、応援団から健闘をたたえる温かい拍手が送られた。【北山夏帆、潟見雄大】

     ▽1回戦

    八戸学院光星

      000000000=0

      00002000×=2

    広陵

     二回裏に訪れた無死満塁のピンチ。光星の選手たちは、後藤投手が立つマウンドに集まった。武岡龍世主将はこう声をかけたという。「打たせれば守ってやる」。アルプス席の家族や生徒たちも祈るように見つめた。「秋も何度もピンチを経験して勝ち上がってきた。乗り越える力がある」。後藤投手の母・由美さんは信じていた。

     後藤投手が気迫の投球で三振に取り1死とすると、遊撃手の武岡主将は後藤投手に向かって「笑顔」と自分のほおを引っ張った。後藤投手は続く打者を凡打に打ち取り、この回失点0で切り抜けた。最後の打者のレフトフライを大江拓輝選手がグラブに収めるの確認すると、笑顔でベンチに走った。

     この日の光星は好守が光った。三回に捕邪飛から、四、六回には遊ゴロから、それぞれ併殺で好機を断ち切ると、アルプス席のメガホンは高々と鳴った。「必ず勝てる」。太山皓仁捕手の母・久美子さんも「体もごつくなって、頼もしくなった。あとは打ってほしい」と、打席に入る選手たちを見つめた。ただ、強力打線を掲げて臨んだ光星だったが、最速150キロの速球と、緩急のある変化球を投げる広陵の河野投手に終始苦しめられた。

     八回の2死二、三塁の好機。武岡主将が打席に立った。「親はみんな、勝ったユニホームを洗うのを楽しみに待っている」。母・みどりさんはそう期待を込めた。しかし、振り抜いた4球目の球は遊撃手の頭上へ。九回も2死から下山昂大選手が安打を放ち、後続の原瑞都選手もファウルで粘ったが、最後はファーストライナーに倒れてゲームセット。見事な接戦だったがあと一歩及ばなかった。

     試合後、アルプス席からは、健闘をたたえる拍手が送られた。「スタンドの声援は、試合中も聞こえていた」と選手たち。平成最後のセンバツは初戦敗退に終わったが、「この負けを生かして、すべてを見直し夏までに強くなる」と誓った。

    八戸学院光星の吹奏楽部とともに演奏する京都広学館の吹奏楽部員ら=阪神甲子園球場で、北山夏帆撮影

    京都広学館も応援

     ○…八戸学院光星のアルプス席では、3年生が卒業して部員が20人になった吹奏楽部に、京都広学館高校(京都府)の吹奏楽部とその卒業生約45人が友情応援として駆けつけた。両校の吹奏楽部顧問の間で交流があり、実現。京都広学館はこの日のために、3月中旬から練習を始めて準備をしてきた。同校は春夏を通じて甲子園への出場経験はないだけに、吉本梨乃部長(17)は「甲子園での応援の機会をもらえて光栄。また機会があったら光星の力になりたい」。光星の吹奏楽部・三津谷花月部長(17)も「京都広学館のおかげで演奏に迫力が増した。一緒に応援できて楽しかった」と笑顔を見せた。


     ■熱球録

    広陵戦で軽快な守備を見せた八戸学院光星の武岡龍世主将=阪神甲子園球場で、山田尚弘撮影

    涙乗り越え夏に戻る 武岡龍世主将(3年)

     2点を追う八回2死二、三塁の好機に打席は回って来た。「同点に追いつきたい」。しかし4球目、内角高めの直球を狙ったものの遊飛に倒れ、3アウトに。立ちはだかる広陵のエース・河野佳投手を前に唇をかんだ。

     関西入りし、開幕前最後となった21日の練習試合の後。武岡はグラウンド脇で悔し涙を流していた。冬に鍛えてきた強打を発揮できず、この日も凡打が続いた。上がらない調子への焦り。チームを率いる主将の責任。さまざまな葛藤があった。

     ただ、涙には意味があった。「泣けば前に進める子なんです」と、母・みどりさんは言う。次の日から、何かを吹っ切ったように表情は明るさを取り戻した。打撃練習では軸足にためた力をミートの瞬間にしっかりとぶつけ、ライナー性の球が飛ぶと、仲間から「いけるぞ!」と声が飛んだ。

     「主将の自分が打てばチームは勢いづく」。試合前、しきりに口にした言葉だ。初回、2死から初球を内野に放ち、持ち前の俊足で安打に。守備でも併殺プレーをみせ、主将の仕事をした。八回の凡打は悔やまれるが「あの場面で打てる打者に夏までになって戻ってくる」。その目にもう涙はなかった。【北山夏帆】

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    4月3日の試合

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