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第91回選抜高校野球

決勝 先輩のグラブを胸に 習志野・飯塚脩人投手/勝利つかむ下位打線 東邦・山田航大選手

 <2019 第91回センバツ高校野球>

     (3日・阪神甲子園球場)

     悲願の初制覇か、歴代最多5回目の優勝か--。第91回センバツ第11日の3日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で、習志野(千葉)と東邦(愛知)による平成最後の日本一をかけた戦いが始まった。スタンドには両校の生徒や卒業生たちが朝から駆け付け、午後0時半の試合開始前から球場は熱気に包まれた。

    習志野の飯塚脩人投手=阪神甲子園球場で2019年4月2日、川平愛撮影

    先輩のグラブを胸に 習志野・飯塚脩人投手

     習志野のエース・飯塚脩人投手(3年)の左手の鮮やかな黄色のグラブは、甲子園を夢見てかなわなかった一つ先輩の元エース・佐藤将聖(まさきよ)さん(18)から託されたものだ。「耐雪梅花麗」(雪に耐えて梅花麗し)。グラブの内側に刺しゅうされた言葉を胸に大一番に臨んだ。

     飯塚投手が公式戦で初登板したのは1年生の秋。緊張で体が硬くなり、球速が伸び悩んだ。「一人で守っていると思うな。打たれても野手を信じろ」。佐藤さんが試合後、アドバイスをくれた。以降、段々と力みが抜け、球速も上がった。その後も積極的に指導を受け、2人で午後10時過ぎまで自主練習をすることもあった。

     チームは2011年夏以降、甲子園から遠ざかっていた。昨夏に主戦を担った佐藤さんは西千葉大会直前、「長い冬を越え、甲子園で勝利という花を咲かせる」という決意を込め、自身のグラブに西郷隆盛の言葉を縫い付けた。だが、準決勝で敗れ、その思いは実らなかった。

     「自分の気持ちだけでもマウンドに連れて行ってほしい」。今年3月7日の卒業式で、佐藤さんからグラブを受け取った。

     「グラブを見ると、一緒に戦っている気持ちになり、心強かった」。今大会、準決勝までの4試合で20回を投げて1失点の本格派右腕は明かす。佐藤さんは応援に来られなかったが、地元で試合の行方を見守り、「硬くならず、普段通りの投球を」とエールを送る。【秋丸生帆、加藤佑輔】

    東邦の山田航大選手=阪神甲子園球場で2019年4月2日、山田尚弘撮影

    勝利つかむ下位打線 東邦・山田航大選手

     準決勝までの4試合で42安打26得点と好調な東邦打線。特に7~9番の下位が13安打と奮起し、反骨心でチームを勢い付けている。

     昨秋の新チーム結成当初、打線の評価は「近年で最弱」とささやかれた。昨春のセンバツにも出場した主軸の石川昂弥主将(3年)や熊田任洋選手(同)以外の選手は結果を出せず、周囲から「石川と熊田だけのチーム」と言われることも少なくなかった。

     「何とか見返してやりたい」。下位打線の選手らは口をそろえ、確実にバットに当ててつなぎに徹し、機動力を生かそうと走塁の練習にも力を入れた。

     準決勝まで打率4割超、3盗塁の活躍をみせる河合佑真選手(3年)は、プロ野球選手の動画を見てバットを振り込んだ。「石川たちばかりに頼っていられない。俺たちもやれるってところを見せてやるという気持ちが常にあった」。準々決勝まで7番だったが、準決勝で6番に起用された。

     準々決勝で相手を突き放す適時二塁打を放った9番・山田航大選手(2年)も「9番でも好機が多い。先輩たちの努力を無駄にしたくないと気合が入る」と意気込む。

     森田泰弘監督(59)は、「石川、熊田らが相手から警戒される中、下位打線が打てていることが勝利のカギになっている」と分析。石川主将は「全員で勝利をつかみたい」と話し、切れ目の無い打線で平成最後の優勝を目指す。【高井瞳】

    習志野のアルプススタンド=阪神甲子園球場で2019年4月3日、山田尚弘撮影

    美爆音と友情団 アルプスも熱戦

    東邦のアルプススタンド=阪神甲子園球場で2019年4月3日、玉城達郎撮影

     両校のアルプス席からは、ともに全国的に有名なブラスバンドが選手を後押しする。いずれも150人規模の大所帯。迫力ある演奏で球場を揺らし、決勝の舞台を盛り上げる。

     午前10時に開門されると、詰めかけていた応援団や観客が続々とそれぞれのスタンドに向かった。

     一塁側の習志野の吹奏楽部は、美しい音色と大音量を兼ね備えた「美爆音(びばくおん)」を響かせる。指揮を担当する酒井悠歌(はるか)部長(3年)は「来ようと思って来られる場所じゃない夢の舞台。選手たちへの感謝の思いを乗せて120%、130%の力で演奏したい」と意気込んだ。

     三塁側の東邦は、マーチングバンド部が、友情応援を引き受けた大阪桐蔭の吹奏楽部と合流し、息の合った演奏を繰り広げる。東邦マーチングバンド部顧問の白谷峰人さん(43)は「動きを交ぜた楽しい演奏でスタンドを盛りあげる」とアピールした。【田畠広景、高井瞳】

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